六本木・ビルボードライヴ東京(セカンド)。なんか電車に乗るのがお
っくうで、飲めなくてもいいやと車で向かう。ここ(東京ミッドタウン)の
駐車場は面倒な様式をスカして取る六本木ヒルズと違い、開いている枠に車
を入れるという普通のもの。幅広の高級車がパークする比率も低くはないは
ずで、もう少し一台一台の枠を広めにとってもいいのではないかと感じる。
ちょい貧乏くさい。近年のハイテク駐車場は出庫ゲート以前に清算するとゲ
ートに差しかかったとき自動的にゲートが開くシステムのもの(どういう、
からくりになっているのかな。先日のRADを見に行ったさいのTOKIA ビル
も、そうだった)があるが、ここはそういう便利機能の導入はなし。あー、
ザ・リッツ・カールトン東京(日本語表記でちゃんと冠詞をつけているのは
珍しい。我々は唯一です、というのを強調しているのかな)に泊まってみた
ーい。
         
 定時に出てきたテカった禿げ頭のヴェテラン・フュージョン・ギタリスト
の姿を上から見下ろしつつ、カールトンのことをちゃんと見るのは初めてな
んだなーと確認。この晩だって、近年カサンドラ・ウィルソン(2004年9
月7、他)やマーカス・ミラー(2006年9月3日、他)のアルバムで秀でた
客演をしているケブ・モー(94年にエピック/オーケーから今の風を持つ
カントリー・ブルース・マンとしてデビューし、現在に至る)がゲストで出
る(どうやら、日本ツアーだけのスペシャル・アピアレンスのよう。今、モ
ーはソロでパーフォマンスをすることが多いようだ)から見にいったという
のは否定できない。

 ここのところ、ロベン・フォード(1999年8月28日、2004年4月21日、20
04年10月22日、2004年12月17日)との双頭のブルース傾向バンドで活動して
いた(この4月上旬に行った豪州バイロン・ベイのブルース・フェスにも彼
らは出演)カールトンはずっとブルース・モードが続いているらしく、自身
の新プロジェクトもブルースという単語を冠してのもの。で、なんと四管を
擁する(セクション音主体。ソロはテナー奏者だけがホンキーな感じでとっ
ていたが、なんとそれは長年フランク・ザッパ・バンドで吹いていたアル
バート・ウィングだったよう)総勢8人組にての編成で、キーボード奏者は
ハイラム・ブロック・バンド(2000年6月21日、他)でお馴染みのデイヴィ
ッド・デローンみたいだ。

 ブルース・バンドというわりにはブルース色の強い曲を連発するわけでは
なく、地に足をつけたがんちんこ気味のフュージョンをやる、と説明するの
が適切だろう。きっと、カールトンの演奏が光っていたザ・クルセイダーズ
の初期人気曲「プット・イット・ホエア・ユー・ウォント・イット」をここ
でやっても全然違和感はなかったはずだ。目鼻だちのしっかりしたサウンド
に乗るカールトンのソロは流麗にして非常に引っ掛かりがある。なるほど、
それは確かに魅力を見つけることができるもので、彼がスター・ギタリスト
になったのもよく分かる。どこかカールトンははしゃぎ気味(ルックスと異
なり、子供っぽい人という印象を持った)で、このバンドでライヴするのが
嬉しくてしょうがないという感じがあったかな。そういう様に触れるのは、
もちろん悪い気はしない。

 途中出てきたケブ・モーは長身痩身で遠目にはとってもカッコいい。オー
プン・チューニングでスライドを弾く1曲目はカールトンとドラマーと3人
で。おお、イケる。彼はそのままあと2曲やったが、そちらはバンドがつい
て(管はウィングのみが参加)のもので、レギュラー・チューニングによる
。ちょっと工夫にかけるブルース・コード進行曲が素材だったのは残念。で
も、声はとってもデカいし、思っていた以上に存在感のある人で余は満足じ
ゃ。

 アンコールは最初、カールトンがソロでギターを爪弾く。それ、ぼくには
ナッシング。というか、早くまたゲブ・モーが出てこんかい! と待ち構え
ていたもので。

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