なんか想像していたよりも遙かに訴求力あるストレート・アヘッドなジャ
ズをやってくれて、ぼくは驚いた。切れと覇気がたっぷり。思わず、身を乗
りだしたな。南青山・ブルーノート東京、セカンド・ショウ。

 ウィントン・マルサリス(2000年3月9日)の後に続く俊英トランペッタ
ーとして世に出て注目を集めたハーグローヴ(2003年2月18日、2003年9月
21日)だが、ミレニアム以降は自身のファンク/R&B趣味を投影したソウ
ル・フュージョン路線を歩んできていた。(所属レコード会社の)ヴァーヴ
も純ジャズじゃないほうを望んでいると当人が言っていたことがあったけど
、昨年出た新作『ナッシング・シリアス』は久しぶりに正調ジャズ路線にあ
るものだ。

 アルトとリズム隊を従えて、マジなジャズを繰り広げる。バラード(スタ
ンダードの「アイム・グラッド・ゼアーズ・ユー」。この曲だけ、フリュー
ゲルホーンに持ち替える)以外はみんなバリバリと突き進む。だだし、新作
とは全然異なる面子を率いてのもので、そこからの曲も1曲しかやらなかっ
たし、ハーグローヴ自身、このクインテットはアルバムの先にあるものと位
置づけて意気込んでやっていたんじゃないのかな。別に新しいことは何もし
てないものの、まっとうなジャズ語彙が渦巻くこの晩のパフォーマンスはそ
う思わせちゃう輝きを持っていった。

 それから。ハーグローヴ(スーツを来ていたが、靴はスニーカー)は姿勢
よく、直立でトランペットを吹く。ちょっと背をそらせ気味にトランペット
を真っ直ぐにマイクに向けて。その様、本当にカッコいいし、彼の真っ直ぐ
な心持ちを伝えてくれるような気がして、ふふふとなれた。

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