うひょう。びっくりするぐらい力があり、ひきつけられた。こんなに凄い
人だったのか。

 音楽家庭に育ち(1950年、メンフィス生まれ)、74年に日本のトリオ・レ
コードで録音した以降は、アトランティック、エレクトラ、ポリグラム/ユ
ニヴァーサルとずっとメジャーに在籍し続けるジャズ・シンガー(2003年
8月1〜2日。ずっとパリに住んでいるのかな)。当初は広がりあるフュー
ジョン調バッキング音で歌っていた彼女だが、成熟した現在も正調ジャズ路
線としなやかな拡大路線をうまく併置して取っているという印象をぼくは持
つ。今回のバンドは生ベースのアイラ・コールマン(2000年3月14日、2004
年10月29日)他いろんな肌の色をした奏者を雇ってのもので、やはり普通
のジャズの枠には納まらない演奏指針を取るものだった。

 乱暴に言えば、エラ・フィッツジェラルドからJBまで自在に行き来しち
ゃってるようなパフォーマンス。でもって、最新作はマリ録音だったりして
、奥にアフリカを想起させるときもあり。お洒落な衣服を身にまとった彼女
はがんがん動いたりもするが、音程は全然乱れない。とにかく、あらゆる歌
い方や喉の使い方ができ、そのどれもが堂にいっていて、多大な訴求力を持
つ。オールマイティという形容もアリで、それだと器用貧乏的で個性が薄い
ような感じがしてしまうが、何を歌っても強固に威厳ある自分を打ち出すの
だから降参。今後、日本に来たときは全部チェックしなきゃ、と思った次第。

 唯一マイナスに感じたのは、彼女の芝居っ気たっぷりのMC。それは過剰
すぎて、少し引きました。会場はお盆休みの間に少し改装された、南青山・
ブルーノート東京。まあ、秀でたプロには関係ないのかもしれないが、公演
初日のファースト・セットでこの度を超した濃密具合。すごすぎ、です。

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