リトル・クリーチャーズのメンバーであり、アップライト・ベーシストと
してもいろんなギグで活躍中の鈴木正人(2003年12月4日、2004年7月
6日、2004年11月30日、2005年10月30日、2005年11月15日)の、リーダ
ー作リリースをフォロウする公演。原宿・クエストホール、5時から。

 まず、鈴木(縦ベース)、内橋和久(ギター)、外山明(ドラム)という
、UAのバッキングで一緒になってもいる3人にて冒険的即興と浮遊感と情
緒を併せ持つ演奏を30分強やる。以下、ドラムの芳垣安洋(けっこう、この
後はツイン・ドラムで)、クラリネット/サックスの塩谷博之、トロンボー
ンの青木タイセイ(2006年11月14日、他)、ペダル・スティールの高田漣、バ
ンジョーと歌の青柳拓次、歌のUAが曲により加わる。
 
 UA(2004年7月6日、2004年8月12日。そういや、去年インタヴュー
したとたき、声が大きくて歌がうまそうでね、と彼女から言われた。照れく
さかった)はなんとセーラー服を着て登場。それ、鈴木と同級生という理由
で着用とのこと。彼女は2曲歌う。とくにより難しい旋律を持つ2曲目の歌
唱はぼぼ完璧。びっくりした。また、最後のほうには、チャールズ・ミン
ガスの有名曲「ベター・ゲット・ヒット・イン・ユア・ソウル」(実は、渋
さのエイベックス第2弾に入っている「ダスト・ソング」もこの曲を彷彿と
させる。それを指摘すると、不破大輔も同意)を演奏する。怒れる黒人ベー
ス巨人のミンガスと洒脱で飄々とした鈴木はあまり結びつかないが、やはり
鈴木はジャズ好きなのネ。ただ、この晩のこの曲の演奏は芸がないものでぼ
くはバツ印を与えるが。だが、総じては美意識と新鮮な目が随所に顕れてい
た、聞きどころのある公演だったと思う。

 鈴木の本編が終わったときに、渋谷・クラブクアトロに移動。

 キャレキシコとの共演作を昨年出したアイアン&ワイン(サミュエル・ビ
ームのソロ・プロジェクト)のショウが始まっていた。アルペジオ系の生ギ
ターの調べの上に澄んでて柔和な声を乗せる。そして、けっこう随時と書き
たくなるぐらい女性シンガーがハモリの歌声を重ねる。なるほど、地味では
あるが、それなりに質のあるシンプルな弾き語り表現。老成したような表現
を披露し、立派な髭をたくわえているが、ビームさんはけっこう若そうな感
じも。途中で、キャレキシコのジョーイ・バーンズが2曲で助演。

 少し間を開けて、キャレキシコ(2001年12月18日、2004年2月15日)の
面々が登場。実は、彼らの昨年出た新作『ガーデン・ルーイン』は可能な限
りメキやん〜国境ノリを排して王道の(?)現代ロック・バンドとして勝負
しようした一作だったが、中盤はそこに収められていた曲を続けたか。普通
のロック・バンドとしても、彼らは多大な輝きを持つ。そして、エキゾな方
に戻るとやっぱしこれじゃのう、とも思わせる。やはり得難い、美味しいバ
ンドですね。人間的にこなれたうれしい妙味が伝わってくるのも、彼らの美
点。最後はビームとバック・コーラスのおねいちゃんも加わる。

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