秀でたセンスと技量を併せ持つテナー・サックス奏者率いる無伴奏サック
ス5重奏団、六本木・スーパーデラックス。2回のステージ回しで、ぼくは
遅いほうの22時30分からの回を見る。もちろん、生音でのパフォーマンス。

 彼らを見るのは2000年12月16日以来だが、あり方がだいぶ変わってきて
いるな。かつてはバッハ曲を格調高くサックス群のアカペラでやりますとい
うのが主題だったはずだが、今はもっともっと下世話になっいる。MCでエ
チオピアの曲と説明したものもあったし、けっこう清水のオリジナルもやっ
たはず。「東京タブー」と呼んでいますと紹介した曲は、バリトンが加藤茶
で有名な「タブー」のような音を奏で、そこに清水が「リンゴ追分」みたい
というか美空ひばりが歌いそうな演歌調メロディを重ねるものだったもの(
さらに、清水は中間部でチャルメラのメロディも弾いた)。他も、民謡調と
いうか童歌調というか、そういう感じの曲を彼らはいろいろやったはずだ。
それは、国際派の清水だけに海外の聞き手をイメージするところがあるのか
もしれない。

 まさしく聖と俗を行ったり来たり。清水は吹き方もクラシック的な奏法か
らより離れて汚い音も使っていたし、4人のサックス・アンサンブルに彼が
ソロを乗せるというノリも濃くなったはずだ。でも、ほんのちょっとやった
(2、3曲ぐらいかな)バッハ曲は本当に美しく、魅力的だと思った。クラ
シックなるもの、ゲージツ的なるものに過剰に拒否反応を示す私でも無条件
に。この後、彼らはレコーディングに入り、来年は鋭意ライヴを行うとのこ
と。

 途中に、4人のサックス奏者(まだ、20代ぽい)が引っ込み清水は女性ダ
ンサー(というか、パフォーマー)と絡む。このときは、フリー・インプロ
ヴィゼーション。ときに、動きでもパフォーマーと絡んで(音を出さないで
、吹くポーズをしたかりも)彼なりのウィットを表出。といった具合で、ぜ
んぜんかしこまって聞く内容ではない。なのに、演奏中はお酒を販売しない
なんて、そんな殺生な。でも、禁煙にはなってなくて、横から臭い匂いが漂
ってきて、コドモの私はムクれましたとサ。


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