コノノNo.1

2006年8月26日
 デカい音を出せるヤツが偉い! といった具合で、伝統的なパーカッショ
ンのアンサンブルに原始的手段でアンプリファイドしたリケンベ音(親指ピ
アノ)を注ぎ込んだら、なんとも胸の空くイってるダンス・ビート送出グル
ープに、という図式を持つ、アフリカのコンゴ民主共和国のリケムベ・グル
ープの代表格。もともと、結成されたのは35年強も前だという。その電気化
音はチープな装置経由ゆえノイズまじり(現在は他の経路でも音を出してい
るが、彼らは30年前の学校が使っていたような大きな朝顔型のスピーカーを
拡声手段として用いている。今ツアーにも彼れらはデコボコになったそれを
二つ持ってきてステージ左右に並べているが、一つは壊れてしまってダミー
となっていた)。だが、それが逆にいい味/いい感興を導き出したりする。
その面白さは、レゲエのダブ誕生過程やハウスの808使用法の妙味にも繋
がる、ポップ・ミュージックの美味しくも不思議なツボでありますね。

 今回の来日メンバーは、グループ創始者で70歳を越えているマウング・ミ
ンギエディを中心にリケムベ奏者が3人、打楽器奏者が3人という布陣。多
くは歌も烏合の衆的に歌う。オリジナル・メンバーは戦争によって多くが行
方不明になってしまったというバイオどおり、ミンギエディ以外の人たちは
若めだ。リケンベのうち一つは強力なベース音担当でまるでベース奏者がい
るみたい。打楽器奏者のうち、前方中央に位置する女性(紅一点)は複数の
カウベルのようなものを叩き、後ろに位置する男性二人は手作りっぽい銅の
長い太鼓を二つ並べたもの、スネアと錆びたボロボロの鉄板を重ねたシンバ
ルをそれぞれに叩く。パフォーマンスだと、ミンギエディは後ろのほうで地
味にリケムベを弾いているだけで、現在の生演奏の主導は若い人たちが取っ
ているように見える。

 メンバーの「踊ッテクダサイ」という日本語の掛け声もなかなか(そうい
うえば、マイクで拾う人の声も最初から濁っていました:笑い)。当初はま
ばらだった会場も音と歌声が出たとたんに人がどばあって集まり、大ダンス
大会に。アルバムで聞けるまんま、それ以上何を欲する? 脳味噌とろけそ
うな快感とダンス衝動がそこにはたっぷり。途中出てきて女性奏者とダンス
で絡んだ人は、コンゴ出身日本在住のミュージャン/ダンサーであるそう。
ステージ下手には手書きの“雰囲気な" 看板が立てかけられている。客席側
から見ると、その上にターンテーブルが置いてあるようにも見えて、いつDJ
が出るのかと期待した人がいたかも。その雑食狼藉音はDJでもなんでも来い
! というものであったし。

 この日のパフォーマンスは修善寺・サイクリングセンターにおけるメタル
モルフォーゼ06への出演(ソーラー・ステージ)。会場横には、スポンサー
ドしているローランドやコーグなどの、最新の技術をいかにフィードバック
しようかと奮闘している電気楽器/装置メイカーの看板が出ているわけで、
その対比も実に愉快。酔っぱらった頭で、ひゃははははあとなった私であっ
た。全体にPA音が小さすぎるような感じがしたが? 卓は同行の若い欧州
人がやっていた。

コメント