ジェイミー・カラム

2006年6月13日
 2004年1月28日、そして触れてはいないが同年のフジ・ロック(かな
り、インパクトのあるパフォーマンスだった)に続く来日公演。渋谷・ク
ラブクアトロ。

 ところで、前回と今回の間に一つ大きな事があった。それは、彼のユニヴ
ァーサル内で扱いがジャズ部門からポップ部門に移ったこと。つまり、より
非ジャズ・リスナー層をターゲットにすることが徹底されたわけだ。英国キ
ャンディド(セシル・テイラー、エリック・ドルフィー、ドン・エリスなど
をリリースし60年代初頭に異彩を放った、あのキャンディドのプロデューサ
ーだった英国人アラン・ベイツがやはり率いる)がリリースした彼の02年デ
ビュー作『ポイントレス・ノスタルジック』はタイトル・トラックこそわり
かしポップな自作曲だが、モンク曲やガーシュイン曲などの他人曲を歌った
り演奏したりする完全にジャズ路線にあるアルバムだったことを考えると、
隔世の感があるなあ。ってほどでもないか。

 で、その変化はパフォーマンスにも如実に表れる。ベース奏者は電気ベー
ス主体となり、ときにプリセット音を噛ませることもあったし、新たにギタ
リストやキーボード/パーカッショニストも雇う(その二人はそれぞれトラ
ンペットとサックスも吹いて、ときにセクション音を出したり、ちょいソロ
を取ったりも)など、サウンドには厚みが付けられていたのだ。彼はピアノ
を弾かずに、中央に立って歌う場合もあったしな。ヒップホップ的なビート
のもと、ヒューマン・ビート・ヴォックスを噛ますときもありました。そう
したなかちょろっといかにもジャズっぽいピアノを弾いたり、ジャズ・バ
ラードを歌ったりすると、それはそれで起爆力抜群。やはり、彼はポップ愛
好者にとってのジャズ入門アーティストになるよなとも思わせられる。とと
もに、ジャズはもうちょと歳をとってからまたちゃんとやればいいぢゃんと
も。

 タイムリーに、ワールド・カップねたをかまし(前日の、ワールドカップ
の日本の初戦敗退にも上手に触れる)、客から受けたりも。また途中、好き
なアーティストの名前を言ったりも。冒頭に名前を出したハービー・ハンコ
ック以外は、ベック、ビョーク、ダニー・ハサウェイ、スライ・ストーンな
ど、みんなポップ側の人。そして、エルトン・ジョン(「ロケット・マン」)
やレイディオヘッド等のカヴァー曲も。

 とかなんとか、とっても楽しく、味もあり、かなりいいライヴ・パフォー
マンスだったと思う。

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