ディープ・パープル

2006年5月21日
 渋谷・アックス。これは追加公演で、来日史上初のスタンディング会場で
のショウなのだとか。ヴォーカルとリズム隊が黄金期の人達で、ギターとオ
ルガンが新参の実力者たちという布陣。基本的な印象は去年のサマソニ(20
05年8月13日)で感じたのと同様。音質が悪く、印象が散漫になる千葉マリ
ーン球場ではそれほど気にならなかったが、イアン・ギランの喉は相当に衰
えてきている(なんでも、風邪で余計に声が出せなかったそう)。そのぶん
、とってもおっさん臭い風体と愛想のいいMCは印象に残った。

 途中、ギタリストのスティーヴ・モーズに与えられたソロ・パートは非常
に退屈。いろんなキャリアを持つ人だが、こんなに閃きのない人だったのと
いう感じ。他の通常曲でのソロも予定調和なものだが、それについては多少
の感慨があったかも。大昔のディープ・パープル体験/愛好はぼくのジャズ
的インプロヴィゼーションの原体験になるものではないかと思うところもあ
るから(ついでに言えば、彼らの「ウーマン・フロム・トーキョー」はもっ
とも最初に触れたファンキー要素かもしれない)。彼らがいたからこそ、ジ
ャズにも比較的小僧のころから興味を持った? 

 昨年に続いて彼らを見たのは、実はベーシストのロジャー・グローヴァー
の取材をすることになったから。やっぱり、一回ぐらいは子供のころ大好き
だったバンドのメンバーに会ってもいいと思った。……が、考えてみたら、
ぼくは90年代にディープ・パープルの外様メンバー二人にインタヴューして
いたりするのだな。すっかり、忘却の彼方であった(だから、こういうのを
ちゃんと書き留める気にもなるって訳ネ)。一人は、グレン・ヒューズでソ
ロ・アルバムを出した際、プロモ来日したとき。そして、もう一人はジョー
・リン・ターナー。これは彼がコリー・グローヴァー(リンヴィング・カラ
ー)らと企画プロジェクトに参加したときに、NYでやった。前者はとっても
R&B好きだったこと、後者はなんかちゃらい性格がいいナと思ったことを
思い出した。そして、日本トップ級のホテルに当宿していた小柄なグローヴ
ァーもまた、こなれた人だった。彼、もう30年もアメリカに住んでいるそう
だ。
                      

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