まず、青山一丁目駅の近くにあるカナダ大使館のシアターで、71年生まれ
のカナダ出身(現LA在住)シンガー・ソングライターの30分少し欠けの実
演を見る。根っこはもろにエルトン・ジョンにあるようなピアノ・ポップ・
ロックを聞かせる人で、シングル「バッド・デイ」が欧米でヒット、すでに
日本でもそのセルフ・タイトルのデビュー作は7万枚も売れているそうな。

 ピアノの弾き語りで、その持ち味をしっかりとアピール。曲により、グラ
ンド・ピアノとピアノ音を出す電気キーボードを弾き分けながら歌う。なん
の意味があるのかいなと思って聞いていたが、どうやらオリジナルのキーだ
と黒鍵を多く弾かなきゃならい曲の場合はキーボードを用いるよう。トラン
スポーズ機能を用いて白鍵中心の弾きやすいものにしてパフォーマンスして
いるようだ。

 アルバムで聞ける体裁よりも、弾き語りのほうがいいとぼくは感じた。歌
もより太い感じで、より真っ直ぐさや切実さが出るから。彼には少し前に電
話インタヴューをしたことがあったのだが、25才まではバンドでキーボード
を弾くだけで曲を作ろうと思ったことなかった、というようなこと言ってて
びっくり。でも、やっぱり手慣れてもいる、ちゃんとした曲を書いているよ
なー。ミッチェル・フルームがプロデュースしたデビュー作は彼の意思もか
なり尊重されているとのことだが、なんにせよ色付けが妙に厚ぼったく、フ
ルームのプロデュース失敗作だとぼくは思う。

 その後、まあ歩いていける距離にある青山・月見ル君想フに寄る。ナスノ
ミツル+勝井祐二+中村達也セッション&芳垣安洋がちょっとでも見れれば
と思ったのだが、とうぜん彼らだけの出演ではなかった。中に入ると、近く
新作を出すデュジュリディ奏者のGOMA(+大多和正樹)がマイペースで
やっている。場内は混んでいる。続いて、ドラムとコンピューター音の相乗
表現を一人でやるjimaica 。会場でこのところの大友良英のアルバムを出し
ているNさんに会ったのだが、彼とバンドをやっているんです、と言う。そ
の途中で渋谷に移動。

 デュオ。知人から面白いバンドですからと誘いを受けた日本のバンドの、
キング。ぼくはその存在を知らなかったが、いろんな分野でかなりのキャリ
アを重ねる敏腕プレイヤーたち(つの犬もいました)が集う、9人編成の大
型バンド。歌も歌うベーシストがリーダーか。それを見ながら、ワシントン
・ゴーゴーのトラブル・ファンクもベース奏者が歌っていたっけかと、変な
ところに考えは飛ぶ。ドラムとパーカションが二人づついる(管楽器奏者も
二人)という編成が示しているように、リズムの重なりに自覚的なことをや
る。耳年増でもあるだろう彼らはいろんな曲調の曲をやるが、乱暴にアフロ
・ファンク・ロック・バンドと書いておこうか。もろに、フェラ・クティ調
の曲もあったし。もう少しちゃんと書き留めたかったが、急遽たのしそうな
花見の誘いに負け、途中退場。開花宣言は出たがまだまだ(といっているう
ちに、すぐに満開になってしまうんだよなー)。それに、毎度のことだが寒
〜い。ああ、風物詩。春よ、来い!

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