南青山・ブルーノート東京、セカンド。アントニオ・カルロス・ジョビンの
息子(カルテート・ジョビン・モレレンボウム)や坂本龍一との関わりで知ら
れるブラジル人夫妻が出演。もちろん、チェロ奏者である旦那のほうはなんと
言ってもカエターノ・ヴェローゾ(2005年5月23日)に欠かせぬ協調者ですね。

 最初の4、5曲はパウラ(変なフリをつけて歌う)と、キーボード(いわゆ
るキーボード音から、ストリングスや管楽器音を出すだけでなく、きっちりベ
ース音も担当)、ギター(ずっとエレクリトリック・ギターを弾くが、生ギタ
ー音が出てくる場合も)、ドラムという編成でやる。
 
 そして、ジャキスが出て来るのだが、まずステージに上がってすぐに女房に
キスする。基本アルコ弾きでサウンドに、官能性や滑らかや奥行きや、広がり
を与える。当たり前といえば当たり前だが、さすが。1曲はパウラ抜きで、イ
ンストゥメンタルでやったりも。

 ありゃあと思わせられたのは、けっこうな有名曲をやっていたこと。ブラジ
リアン・ソングの夕べ、みたいな感じで。ときに、プリセット音なども用い、
多少コンテンポラリーなほうにも振らんとする意思がほんのり伺わせつつ。

 ステージを降りるときも、旦那は女房にさっと手を差し出したりして、本当
に恐妻家なのだナというのがよく分かる。パウラは多大な印象を残す歌い手で
はなかったけど、とても気持ちを込めてパフォーマンスしていたのは間違いな
い。それから、やっぱり普通のジャズやポップの公演では感じえない、寛げる
何かがあったことも……。

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