マーゴス・エレーラはメキシコの女性シンガー/ソング・ライター。ただし
、インディオの血は入っておらず、けっこういいとこの出のようで、デザイン
の勉強ためにイタリア、音楽で行くぞと決めてからはLA(ミュージシャン・
インスティチュート)とボストン(ニュー・イングランド音楽院。現在、マイ
ケル・ケイン:2003年11月18、23日はそこで講師をやってもいる)などに留学
するなどの経験を持つ人。すらりとしててお洒落、へえという感じ。そんな彼
女はブラジルをはじめいろんな要素を取り込んだ視野の広いジャジー・ポップ
を聞かせるのだが、旦那はブラジル人ドラマーとかでブラジル要素の取り込み
の上手さはそこから来ている部分もあるのかな。

 昼下がり、お台場・ウェストプロムナードというメリディアン・ホテルとフ
ジTVに挟まれた野外の場。フィエスタ・メキシカーナという催し(なかなか
、さむい)のなかでの出演。生ギターを弾きながら歌う彼女に、エレピ、縦ベ
ース、旦那のドラムという編成にて。で、これが思った以上にジャズっぽい伴
奏で、彼女もよりジャジーな歌い方をしようとする。直後に取材したら、好き
な人はという問いの筆頭に来たのはカサンドラ・ウィルソン。まあ、シャーデ
ーみたいなのも好きだとはいうが。好きなソングライターはカエターノ・ヴェ
ローゾやスティング。レコーディングに使いたい人は、ジャキス・モレレンバ
ウム、アート・リンゼー(1999年12月9日、2002年9月10日)、ロメロ・ルバ
ンボ(2003年5月6日)、ダニーロ・ペレス(2001年8月3日、2002年8月25
日、2004年2月9日)、アヴィシャイ・コーエンらの名前をすぐに挙げる。次作
はもっともっとジャズっぽい方向に行きたいとのたまう。ピーター・ゲイブリ
エルのWOMAD、ウッドストックやフジロックみたいなロック・フェス、N
YのJVCジャズ・フェスティヴァル、出るとするとどれがいいと聞いたら、
JVCと即答。彼女(たち)、ほんとジャズが好きみたい。

 夜、南青山・ブルーノート東京。セカンド。元P−ファンク、いろんなセッ
ション活動をしつつ、デトロイトをベースに統合型ファンクを作っている黒人
キーボーディストを見る。よくぞ呼んでくれました。

 もう40才は過ぎているはずだが、けっこう若々しい人。キーボード、ベース
、ドラム(ときに、プリセット音併用)、健気なフリ付きの二人の女性コーラ
ス(顔や髪形は違うが身長と体つきが同じ。それって、生理的しっくり来てい
いナ)そして、歌とキーボードの彼という布陣。みんな腕が立つ。また、コー
ラスの使い方(リード・ヴォーカルやサウンドとの絡み方)が非常にエクセレ
ント、やっぱりフィドラーは才がある。

 最初のほうはキーボードを触らず、ヴォーカルに専念。そんなにうまいわけ
ではないが、ちゃんと見せ方を知ってもいる人で違和感なく、感心しつつ、聞
ける。けっこう、フロントに立つライヴをやっているのかな。ボブ・マーリー
の「ゲット・アップ、スタンド・アップ」のキーボードの弾き方みたいだなと
思ったら、そのまま同曲のコール&レスポンスをするなど、引出しはいろいろ
。もちろん、P−ファンクの幻影を見せるときもあったし、スライっぽい断片
を出す場面もあった。そうした豊かな語彙が、一度彼のなかに入って、娯楽性
を忘れない、ときに今っぽい多層表現として溢れ出てくる。うふふ。過剰に客
をあおる(明日のコートニー・パインはそうするんだろうなあ)わけではない
のに、もう客席側も大ノリ。1時間半を軽く超えるパフォーマンスにはもう大
満足。本人たちも本当にキブンが良かったろうなあ。また、秀でた、もう一つ
のアメリカの才能に触れたナという気持ちを強く得た。

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