デグロウは黒もの路線を突っ走るクライヴ・デイヴィスの
J・レコーズが送り出した、27才の白人新人シンガー・ソン
グライター。聞いた人の多くはビリー・ジェエルを思い出す
部分を持つピアノ弾き語り系の人で、ドラム、ギター、ベー
スを率いてのもの(少しギターを持って歌ったりも)。実演
を見ると、オールド・ロック臭の強い、時代性に欠けたパフ
ォーマーと感じる。そういやあ、ベースとギターは長髪でい
かにもアナクロな感じの人達。鈍重というか、繊細さにも欠
けるところもあるような気がしたが、それは女々しさから完
全に離れるもので、それはそれでいいだろう。

 ありゃりゃと思わせられたのは、途中で朗々とマーヴィン
・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」をやったこと。
それ、別にイヤな感じゃない。で、それを聞きながら、彼は
古き良き時代のいいメロディを愛好する人で、そういう嗜好
からこうなった人なのネと了解。前座(スタンスが違いすぎ
る日本人グループ。ありゃ、あんまりだ)があった関係で最
後まで見れなかったのだが、セット・リストにはサム・クッ
クの「チェンジ・イズ・ゴナ・カム」が記されていたりも。
うーむ、ちょっと聞きたかったかも。恵比寿・ガーデンルー
ム。

 そして、南青山・ブルーノート東京でロイ・エアーズ。芸
人感覚横溢にして、広角型の黒人ジャジー・ポップをずっと
やりつづけている人。ヴァイブラフォン奏者の彼は2本のマ
レットを両手に持って演奏するが、その左右のフェルト部の
色が違う。赤と白(笑)。2000年3月23日の来日公演時は男
性シンガーを二人同行させており、そのときが一番ソウル濃
度は高かったかな(その項でグラミー賞をニュー・エイジ・
ミュージックの部門で取ったはずと書いてあるが、去年電話
で取材したところ、残念ながらそれはないとの答え。ぼくの
なかではそういう記憶があったのだが、訂正します)。その
あと見た、2002年8月11日の実演はジャズ・フェス出演だっ
たせいか、もう少しフュージョンぽかった。
 
 で、今回(昨年、モーション・ブルー・ヨコハマに来てい
るはずだが、ぼくは見ていない)は、キーボード、ギター、
ベース、ドラムを従えてのもの。英国のレア・グルーヴのブ
ームでまた人気を盛り返したことを裏付けるように、ギター
とベースは英国人のようだ。ともあれ、4年前のときほど歌
度数は高くないものの、鷹揚さがいい感じの、寛いだソウル
・ショウを展開。エアーズの歌を聞くと、あんまりうまくな
くつてもフィーリングがあればなんとかなるものなのだナと
思わずにいられない。

 途中で、日本人シンガー/コルネット奏者のTOKU(20
00年2月25日、2001年9月6日)が入るが、違和感まるでな
し。また、続いて、ブルーノートのLA期(70年前後)にデ
ビューしたフルート奏者のボビー・ハンフリーも登場。この
ころは可愛らしさでも売ってた人だが、今は60才ぐらいには
なってるのかな。なんかとっても嬉しそうに演奏し、小柄(
小太りでもある)なせいもあり、意外にかわいらしい。

              

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