竹村一哲 GROUP

2021年6月24日 音楽
 『村雨』(デイズ・オブ・ディライト)という新作を出す、ドラマーの竹村一哲(2016年9月27日、2018年9月2日、2019年10月6日、2019年12月20日、2020年10月5日、2019年10月28日、2021年6月23日 )のリーダー・カルテットの公演を、新宿ピットインで見る。レコ発を名乗るもので、ギターの井上 銘((2016年6月27日、2017年6月21日、2019年1月21日、2020年1月19日)、ピアノの魚返明未、ダブル・ベースの三嶋大輝という同年代の録音参加者たちが集まってのもの。竹村はサントリーホールの渡辺貞夫のマチネー公演を終えて、自分のショウに臨んだ。

 リズム・セクションはアコースティック。もう生理的にストロングで、今の立ちも抱え、それらはインタープレイするリアルな意思を持つ。カルテット編成の場合、これまでならそこにサックスが入るのが普通だろう。だが、ギタリストを入れているのが、竹村一哲 GROUPの大きな要点となる。しかも、ギタリストの井上は旧来のジャズ・ギタリスト流儀から離れる暴れたノリで、ここに関わる。当然のことながら、その指針は今の我々のストレイト・ジャズをやろうとする30歳ぐらいの担い手の意欲と技を鮮やかに浮かび上がらせる。

 とはいえ、CDだと井上はもっと音響的エフェクターがかかった、いかにも今のECM系ギタリストたちのような音色で勝負していたと思うのだが、ここでの井上はそこまでエフェクターは決めておらず、そうするとぼくの耳にはよりロッキッシュな演奏をしているように思えた。とくに、3曲やったファースト・セットはそう感じた。

 竹村のMCによれば、この顔ぶれで2年ほどやっているそうで、相互関係は蜜。魚返はときにアヴァンな弾き口を出すとともにキース・ジャレット(2001年4月30日、2007年5月8日)愛好が垣間見れる本当に正統な現代ピアニストであるし(本編最後の曲では、それまで出さない黒っぽい〜当人はゴスペルを意識したのかもれないが〜指さばきを見せた)、ベースの三嶋は重心を持ちながら歌心のある演奏をしていて、ソロは何気に切ない。それぞれが、より顔の見えるパフォーマンスをしていると、間違いなく言えた。

 楽曲はアルバムに入っていた曲(竹村や魚坂らの曲が中心)で、ブラシから入るスロウな曲もあるのだが、相互作用と個性を持つ4人の演奏は見事に渦を巻き、熱を放ち、聞く者に入り込む。情の付帯の仕方がハンパなく、それもこのカルテットの魅力であると大きく頷いた。

▶︎過去の、井上銘
http://43142.diarynote.jp/201606281737237220/
https://43142.diarynote.jp/201706220952582448/
https://43142.diarynote.jp/201901231045028294/
https://43142.diarynote.jp/202001201340286359/
▶過去の、渡辺貞夫
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-5.htm  6日
http://43142.diarynote.jp/20041221210502000
http://43142.diarynote.jp/200512231955480000/
http://43142.diarynote.jp/200608091255180000/
http://43142.diarynote.jp/200609070211000000/
http://43142.diarynote.jp/200610080946310000/
http://43142.diarynote.jp/200712171350530000/
http://43142.diarynote.jp/200812281440093394/
http://43142.diarynote.jp/200907310048137248/
http://43142.diarynote.jp/200909120646397236/
http://43142.diarynote.jp/201107111008176019/
http://43142.diarynote.jp/201207031353196616/
http://43142.diarynote.jp/201212171647134119/
http://43142.diarynote.jp/201304031026406106/
http://43142.diarynote.jp/201307291053021427/
http://43142.diarynote.jp/201310050701201281/
http://43142.diarynote.jp/201407091243129270/
http://43142.diarynote.jp/201410061850124929/
http://43142.diarynote.jp/201412281017371613/
http://43142.diarynote.jp/201512151504068292/
http://43142.diarynote.jp/201607100827363436/
http://43142.diarynote.jp/201609201032322395/
http://43142.diarynote.jp/201610141747514263/
http://43142.diarynote.jp/201612171245154424/
http://43142.diarynote.jp/201710121700178187/
http://43142.diarynote.jp/201712181015052794/
http://43142.diarynote.jp/201805290906425481/
http://43142.diarynote.jp/201712061006171627/
http://43142.diarynote.jp/201806130948515941/
http://43142.diarynote.jp/201809071509481583/
https://43142.diarynote.jp/201810090958036278/
https://43142.diarynote.jp/201812201004266842/
https://43142.diarynote.jp/201908071557182844/
https://43142.diarynote.jp/201912161054076351/
https://43142.diarynote.jp/202010060748585515/
https://43142.diarynote.jp/202106240847332337/
▶過去の、キース・ジャレット
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-4.htm
http://43142.diarynote.jp/200705181807060000/

<今日の、とほほ>
 五輪対策で、緊急事態宣言が弱められ(今後は感染数の意図的な操作が行われたとしても、ぼくは不思議に思わない)、一応19時まではお酒を出すようになったわけだが、18時開演にも関わらず、7月11日まではお酒を販売しませんとの掲示がピットインにされていた。ええ、どうして。サーヴしたほうが、お店の利益には繋がるはずなのに。まあ、それも見識ではあるか。19時までにおかわりも頼むぞと思っていたぼくは、シュ〜ン。かわりにジンジャエールを頼んだが、それを飲むのはいつ以来になるだろうか。実演は上にあるように素晴らしく、20時1、2分前で終わる。おお、あれだけちゃんとインタープレイしているのに。プロだな、プロ。その『村雨』の発売は7月1日。ぼくはジャズ・ジャパン誌の記事を書くため聞き込んでいたが、一般のお客にとってはまっさらで聞く曲群であったのか。
 店を出て、やっぱり飲みたいという黒いボクが出てきて、馴染みの店にもしかして不良店だったりしないと問い合わせの電話をしようとする。すると、<電話に接続することができません>という表示が出る。実はお昼頃に知人に電話したときも、この文言が画面に出た。だが、まさか自分の電話がいかれているとは思わず、相手に不都合があるのだと思い込んでいた。メール受信やラインは普通にできていたしね。試しに自宅の固定電話にかけてみたら、同じ表示が出る。うわわあ。ぼくの携帯、こわれているじゃん。これは飲み屋によらずにまっすぐ帰れというお達しであると悟り、直帰する。うまくできているもので、電車の接続がよく、ピットインを出た25分後には家のドアを開けていた。改めて確認したら、ぼくの携帯にかけると、電波が入っていないか電源が入ってませんというアナウンスが流れるという。あ〜ん。修理のため一度auショップの予約をPCで取った後に、そういえば一度アイフォンの電源を落としてみようとなった。PC ならそうするはずなのに、なぜすぐに思いつかなかったか。ぼくはかつて、こんな経験もしている→https://43142.diarynote.jp/200811062252544168/。なんか、思考がコーチョクしている? その結果は、復帰。非常に、気持ちがあわてた1時間であった。
 いかんなあー。俺のスケール、小せえなあ。今日の毎日新聞夕刊3面は、<ポリオ、根絶前に足踏み コロナの陰で弱まる支援>という記事だった。それによれば、先進国の新型コロナ・ウィルスの対策に躍起になるあまり、途上国(アフリカでは根絶し、今残っているはアフガニスタンとパキスタンのよう)へのポリオ制圧のためのワクチン接種が一時停止しているそう。小児麻痺を引き起こすポリオのことをぼくはスタッフ・ベンダ・ビリリの登場で知ったが、この記事の後半は以下のようなことを記す。広く行き渡らせるためにコロナ・ワクチンを製薬会社にその特許の一時放棄を求める議論も出てはいるものの、それは実現していない、と。その是非については、ぼくの狭い頭ではよく判断がつかない。だって企業としての努力ある経済行為だからなあ。もっと人の道から外れたお金儲けをしている会社はたくさんあるはずで(日本だと、五輪を無理やりやることでヒキョーに経済的算段を図っているところはいろいろあるはず)、非常時のもと、それに直接関連する部分だけをあげつらうのもなあ。とはいえ、今の日本は先進国かという疑念は別としても、”持たざる”国を考慮にいれないのは駄目でしょう。記事によれば、1955年にポリオのワクチンを開発した米国人のジョナス・ホーク博士は特許を取得せず、そのため多くの国がポリオを制圧でき、それは日本もそうだった。博士はTVのインタヴューで、「特許は存在しない。太陽に特許は存在しないでしょう」と答えたという。ぼくの周りに、たくさん太陽がありますように。
▶︎過去の、スタッフ・ベンダ・ビリリ
https://43142.diarynote.jp/201007081545497624/ 映画
https://43142.diarynote.jp/201010050803424611/ いわき公演
https://43142.diarynote.jp/201010191155486031/ ワールド・ビート
https://43142.diarynote.jp/201010191405067654/ 三鷹公演

コメント