R.I.P.ショック・G(1963年8月25日〜2021年4月22日)
2021年4月23日 音楽 デジタル・アンダーグラウンドの中央に立った、別名ハンプティ・ハンプ(眼鏡と付け鼻がトレードマーク)こと本名グレゴリー・ジェイコブズがフロリダ州タンパのホテルでお亡くなりになった。デジタル・アンダーグラウンドはオークランドから出たチームであり西海岸ヒップホップ隆盛期の中心的な存在でもあったが、ショック・Gの生まれはニューヨーク州のブルックリン。多感な時期に育ったのはタンパで、その後彼は西海岸に移り成功を見た。死因は検視が必要とされているようだが、彼は馴染みのある場所で亡くなったことになる。
音楽的にも諧謔に満ちた態度の部分においてもP-ファンクねたを用い、なにかと親しみやすい存在だった。彼らは1990年ごろだったか、デビュー・アルバム『セックス・パケッツ』(トミー・ボーイ)が話題になったときに来日し(舎弟の2パックも同行したはず。ショック・Dは2パック、育ての親でもある)、そのときインタヴューしたと記憶するが、詳細は忘れちゃったなー。当時、ぼくはP-ファンク関連者を次々にインタヴューするぞと意気込んでおり、その延長戦という気持ちで臨んでいたかもしれない。あの〜、セックス・パケッツ(宇宙ロケット乗務員の性欲解消のためにNASAが開発した道具という触れ込みだったか?)って本当にあるんですかとかいう質問で始めたかもしれない(笑い)。
とはいえ、デビュー作にして出世作『セックス・パケッツ』はなにげにジャズねたもあったアルバムだった。彼が弾くちょいジャジーな生ピアノ音とスクラッチを組み合わせた「ザ・ニュー・ジャズ」、ハービー・ハンコックの「カメレオン」のリフを応用した「アンダーウォーター・ライムズ」、肌の色にもセックスにも自由な理想の架空の音楽フェスを綴った「ガット・フェスト’89」の冒頭にはフェス出演者として、DUのほかにザ・フー、ザ・クラッシュ、EMPD、ハービー・ハンコック、チック・コリア、マイルス・デイヴィスの名前が挙げられていた。そういえば、ベン・シドランのサントラ『Hoop Dreams 』(GRP,1994年)に彼は1曲関与している。また、ダン・エイクロイド(cf.ザ・ブルース・ブラザース)の初映画監督作品(チャビー・チェイスやデミ・ムーアらも出演したが、大コケした)「Nothing But Trouble」の法廷シーンで彼らはラップしている。
デジタル・アンダーグラウンドの最終作『"..Cuz A D.U. Party Don’t Stop!" 』(Jake)はライヴ盤で、2008年のリリース。ソロ名義作は、『Fear of a Mixed Planet』(33rd Street、2004年)を出している。
<世にも奇妙な、2日間>
サッカー好きじゃない人はなんのこっちゃとなるだろうが、レアル・マドリードの親分を中心とする”スーパー・リーグ”構想ぶちあげにはおおっとなった。スペイン、英国、イタリアの12の人気チームが結託し、従来の欧州クラブNo.1を決めるUEFAチャンピオンズ・リーグに代わるスーパー・リーグなるものを独占的に創設し、質の高い試合を提供する……。裏にいるのは、資金を調達する米国金融会社ののJPモルガン。そこには人気チームをこき使う&お金の使い方が不明瞭なUEFA(欧州サッカー連盟)に対する反発があり、この手の話はだいぶ前からあったものの、あっけらかんとここにきて発表したのにはびっくり。思わず、ネットでいろいろ記事を引いてしまいましたよ。結局のところ、サッカー愛好者のことなど考えずにお金儲けに走るそれは、欧州各国の積み重ねを持つリーグ崩壊に結びつく、という論調に集約されるよう。また、入れ替えなしで創設チームはリーグ参加が保証されることにも強い異議が集まったようだ。コロナ禍で赤字まみれでなんとかお金を得たいビッグ・チームの経営陣、正義じゃなかろうとお金が増えて戻るならそれを拠出する米国ファンド、もともとあがりを不透明に好き勝手していたサッカー連盟、悪の三つ巴話なり。……何かの宣伝文句を借りれば、<みんな悪人。お金が生まれるところにはすべからく小汚い奴がいる>という状況が、こんなにくっきりと露わになることも珍しいのではないだろうか。ドイツとフランスのトップ・チームが不参加だった理由は探せなかったが、とくに英国からはスーパー・リーグ構想発表とともに、それこそ首相から市井の愛好家まで鬼のように反対の声を上げ、あっさりプレミア6チームが参加を撤回し、イタリアの3チームもいやいやっぽくも降りて、たった2日間で見事にスーパー・リーグ構想は頓挫したわけだ。黒いぼくはアメリカの言いなりになってスーパー・リーグが実現し、欧州サッカー界〜=サッカー界ということになるか〜が一度目苦茶になっちゃえばという一握りの悪意もなくはなかったが、とりあえず、サッカーを取り巻く人々の良識が垣間見ることができたのは良かった。英アーセナルが流した、「スーパー・リーグへの招待が来た際、保証がないと知りつつ、将来を守るために取り残されたくありませんでした。間違えた判断をおわびします」といった率直なごめんなさい文言には笑った。実は、スポティファイ共同設立者である38歳のスウェーデン人がそのアーセナルのオーナーに今なりたがっているという。ちなみに、現在のアーセナルはスポーツ関連会社を持つ米国人が持っている。そのスポティファイ君の資産は45億ユーロを優に超えるそう。おいおい、そんなにお金を得ているなら、楽曲を提供するアーティストへの分配金をもっと上げなさいっ。それを、ぼくはここで言いたかった。
音楽的にも諧謔に満ちた態度の部分においてもP-ファンクねたを用い、なにかと親しみやすい存在だった。彼らは1990年ごろだったか、デビュー・アルバム『セックス・パケッツ』(トミー・ボーイ)が話題になったときに来日し(舎弟の2パックも同行したはず。ショック・Dは2パック、育ての親でもある)、そのときインタヴューしたと記憶するが、詳細は忘れちゃったなー。当時、ぼくはP-ファンク関連者を次々にインタヴューするぞと意気込んでおり、その延長戦という気持ちで臨んでいたかもしれない。あの〜、セックス・パケッツ(宇宙ロケット乗務員の性欲解消のためにNASAが開発した道具という触れ込みだったか?)って本当にあるんですかとかいう質問で始めたかもしれない(笑い)。
とはいえ、デビュー作にして出世作『セックス・パケッツ』はなにげにジャズねたもあったアルバムだった。彼が弾くちょいジャジーな生ピアノ音とスクラッチを組み合わせた「ザ・ニュー・ジャズ」、ハービー・ハンコックの「カメレオン」のリフを応用した「アンダーウォーター・ライムズ」、肌の色にもセックスにも自由な理想の架空の音楽フェスを綴った「ガット・フェスト’89」の冒頭にはフェス出演者として、DUのほかにザ・フー、ザ・クラッシュ、EMPD、ハービー・ハンコック、チック・コリア、マイルス・デイヴィスの名前が挙げられていた。そういえば、ベン・シドランのサントラ『Hoop Dreams 』(GRP,1994年)に彼は1曲関与している。また、ダン・エイクロイド(cf.ザ・ブルース・ブラザース)の初映画監督作品(チャビー・チェイスやデミ・ムーアらも出演したが、大コケした)「Nothing But Trouble」の法廷シーンで彼らはラップしている。
デジタル・アンダーグラウンドの最終作『"..Cuz A D.U. Party Don’t Stop!" 』(Jake)はライヴ盤で、2008年のリリース。ソロ名義作は、『Fear of a Mixed Planet』(33rd Street、2004年)を出している。
<世にも奇妙な、2日間>
サッカー好きじゃない人はなんのこっちゃとなるだろうが、レアル・マドリードの親分を中心とする”スーパー・リーグ”構想ぶちあげにはおおっとなった。スペイン、英国、イタリアの12の人気チームが結託し、従来の欧州クラブNo.1を決めるUEFAチャンピオンズ・リーグに代わるスーパー・リーグなるものを独占的に創設し、質の高い試合を提供する……。裏にいるのは、資金を調達する米国金融会社ののJPモルガン。そこには人気チームをこき使う&お金の使い方が不明瞭なUEFA(欧州サッカー連盟)に対する反発があり、この手の話はだいぶ前からあったものの、あっけらかんとここにきて発表したのにはびっくり。思わず、ネットでいろいろ記事を引いてしまいましたよ。結局のところ、サッカー愛好者のことなど考えずにお金儲けに走るそれは、欧州各国の積み重ねを持つリーグ崩壊に結びつく、という論調に集約されるよう。また、入れ替えなしで創設チームはリーグ参加が保証されることにも強い異議が集まったようだ。コロナ禍で赤字まみれでなんとかお金を得たいビッグ・チームの経営陣、正義じゃなかろうとお金が増えて戻るならそれを拠出する米国ファンド、もともとあがりを不透明に好き勝手していたサッカー連盟、悪の三つ巴話なり。……何かの宣伝文句を借りれば、<みんな悪人。お金が生まれるところにはすべからく小汚い奴がいる>という状況が、こんなにくっきりと露わになることも珍しいのではないだろうか。ドイツとフランスのトップ・チームが不参加だった理由は探せなかったが、とくに英国からはスーパー・リーグ構想発表とともに、それこそ首相から市井の愛好家まで鬼のように反対の声を上げ、あっさりプレミア6チームが参加を撤回し、イタリアの3チームもいやいやっぽくも降りて、たった2日間で見事にスーパー・リーグ構想は頓挫したわけだ。黒いぼくはアメリカの言いなりになってスーパー・リーグが実現し、欧州サッカー界〜=サッカー界ということになるか〜が一度目苦茶になっちゃえばという一握りの悪意もなくはなかったが、とりあえず、サッカーを取り巻く人々の良識が垣間見ることができたのは良かった。英アーセナルが流した、「スーパー・リーグへの招待が来た際、保証がないと知りつつ、将来を守るために取り残されたくありませんでした。間違えた判断をおわびします」といった率直なごめんなさい文言には笑った。実は、スポティファイ共同設立者である38歳のスウェーデン人がそのアーセナルのオーナーに今なりたがっているという。ちなみに、現在のアーセナルはスポーツ関連会社を持つ米国人が持っている。そのスポティファイ君の資産は45億ユーロを優に超えるそう。おいおい、そんなにお金を得ているなら、楽曲を提供するアーティストへの分配金をもっと上げなさいっ。それを、ぼくはここで言いたかった。
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