AFRO URBANITY

2021年2月11日 音楽
 日本のプログ・ラテン・バンドであるアフロ・アーバニティの、無観客ライヴ映像を収録を見させていただく。彼女たちはこのコロナ禍にライヴ映像を配信していて、これはその3回め用のための収録だそう。会場は青山クロスシアター。閉まった子供の城隣の小道の斜め前にある、ちゃんとしたホールだった。その2回めのライヴ映像は、https://www.nsrecordsjapan.com/post/2021afrourbanity_studiolive

 2019年にリリースされた、デビュー作『AFRO URBANITY 』(NS)はいろいろすぐに忘却してしまうぼくにとって、実はなんとも印象に残っている1作だ。ぼくの耳に同作は<きちっと伝統に足をつけながら、相当に先進的なラテン>と感激させてあまりある仕上がり。ブラインドでロベルト・フォンセカ(2003年10月14日、2010年1月26日、2013年1月12日、2014年3月19日、2017年9月19日、2018年9月2日 )の新プロジェクトと聞いたら信じちゃう、とか思ったもの。なので、その生の様に触れるのが楽しみでしょうがなかった。ぼくはルンルン、渋谷駅から坂道を登っていった。

 メンバーは、キーボードの阿部道子とヴォーカルの奈奈カンタリーナと。その2人が中心となり、研ぎ澄まされた音楽ディレクションをしている。いやはや、ラテン・ミュージック愛を根っこに置く、この歌心と野心の拮抗の繰り広げ方はすごい。彼女たちに加え、キーボードの津垣博道、ベースの小泉哲夫、ドラムの加納樹麻、ティンバレスの吉羽一星、バタとコンガの関コータがメンバー。今回はそこに、3本の管楽器セクションが入る場合もある。そちらは、トランペットの松木理三郎と、テナー・サックスとフルートの石井裕太とトロンボーンの石川智久。

 会場に入ると、詰めのリハーサル中。カメラ・ワークの確認もなされていたが、カメラマンも複数いて、周到なお膳立てと労力をかけて収録に当たっていることを了解。その合間のときにも、打楽器陣は戯れるように楽器を叩いていたが、バタの出音の大きさや芯のあり方を再確認。そして、その音楽はかなりサンテリアに基を置いているのだとも認識。実際、オリジナルをやっているが、神の名前が入っている曲はサンテリア曲のメロディを引用しているようだ。この日やった中で、一番しっとりした「El Callejon de los Rumberos」はいい曲だなあ。

 抜群のチームワーク、関係性のもと、瑞々しくも有機的なラテン+の表現が編み出される様に体が揺れる。収録じゃなかったら、大騒ぎして見ていたろう。しっかりキューバン・ラテンの本意を抱えつつ、現在進行形な今を見据えるその生き方はいろんな感じ方ができ、いろんな人に勧められるものではないかと思う。キップ・ハンラハン(2000年1月12日、2001年5月15日、2011年12月8日)を愛好する人にも聞いてほしい。

▶過去の、ロベルト・フォンセカ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-10.htm
http://43142.diarynote.jp/201001291746252351/
http://43142.diarynote.jp/201301161544336447/
http://43142.diarynote.jp/201403240917556171/
http://43142.diarynote.jp/201509291629428595/ (最後のほう、フォンセカへのインタヴュー)
http://43142.diarynote.jp/201709240952511030/
▶過去の、キップ・ハンラハン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://43142.diarynote.jp/201112171635194708/

<今日の、会話>
 なんか、貴重な機会をいただいてしまったなという気持ちいっぱい。そして、いろいろ聞きたいことも出てくる。どうやって、こういうメンバーになったんですか。「私が1人1人見にいって、こうなりました」(阿部)。ヴォーカルは歌詞のないものも耳につき効果的と思え、それが広がりあるグループの音楽性を導いているようにも感じます。「実は、AFRO URBANITY を組むとき、ヴォーカルは歌詞のないものにして、私も楽器奏者の一員であるようなグループにしたかったんです」(奈々)。ぼくがとってもプログレッシヴと感じるという言葉を受け、阿部は「実はブログレッシヴ・ロックも好きだった」というようなことも言っていた。終了後、ぼくがステージの機材を見ていると、津垣博通が気さくに話しけてくださる。彼の場合、ぼくはジャズ・ピアニストとしての印象をまず持つ。それを伝えると、ブラジル音楽はトロンボーン奏者の向井滋春(当時のマネイジャーは中原仁)のグループ、ラテンは松岡直也のグループ(けっこうな期間、在籍したはず)に入って理解を深めたとのこと。彼は、『Afro Cuban Fantasy』(RYU-GOOD-JOE、2002年)というラテン・ジャズのミニ・アルバムも出している。この日は彼の作った曲もやっていたが、それは3管のワザと妙味をたっぷり介したものだった。それから、彼女たちのアルバム配給会社の方に聞いたのだが、奈奈カンタリーナのおばさんは、金延幸子(1999年5月31日)であるのだとか。わー、そりゃ才能に満ちていて不思議はない。というか、才溢れ出て当然じゃないか。この日、撮影されたものは、まず前半が3月5日(金) 21時に”NS Records Japan YOUTUBE Channel ”で公開される。https://youtube.com/c/NSRecordsJapan
▶過去の、金延幸子
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live2.htm

コメント