1970年代頭にかなりの人気を博したハード・ロック・トリオである、マウンテンのフロントに立ったギタリスト/シンガーのレズリー・ウェストがお亡くなりになった。当時、なかなかの顔役でザ・フー(2008年11月17日)やミック・ジャガーやキース・リチャーズらと絡んだこともあった。生まれ、拠点にしたのはニューヨークだったが、いつ頃からか自動車レースで知られるマイアミ州デイトナビーチに住んでいたようだ。数日前に心臓発作を起こし、心停止したという。レスリー・ウェストというと真っ先に思い浮かぶのは、太っちょ。ということ。その風体のもと豪快なハード・ロックを聞かせたが、一方で「テーマ・フォー・アン・イマジナリー・ウェスタン」のような美曲をやったりもしたよな。
 
 そのマウンテンのプロデューサーでありベーシストは、ウェストとヴォーカルを分け合ったフェリックス・パパラルディ(先の「テーマ・フォー〜」は彼が歌っているのかな?)。大学でクラシック教育を受けた彼はマウンテン結成以前に、ヤング・ブラッズやクリームをプロデュースしたりして、名のある人物だった。竹田和夫のクリエイションが、彼にプロデュースしてもらったときは驚いた。ウェストの訃報に接し、パパラルディはすでに亡くなっているよなと思ったら、1983年4月没。そんな大昔であったのか。ちょうど、ぼくが就職したときだ。クリームの曲「ストレンジ・ブルー」にクレジットを残した奥さんのゲイル・コリンズ・パパラルディに射殺されてしまったのか……。マウンテンにも歌詞を提供したゲイル・コリンズは、2013年にメキシコのリゾート地で癌治療中に亡くなった。

 レスリー・ウェストは、2000年代に入るとオランダの著名ブルース・ロック・レーベルであるプロヴォーグから4作品を発表。2011年には糖尿病で右下肢の切断もしいられた。近作となる2015年作『Soundcheck』にはクリームもカヴァーしたウィリー・ディクソンの「スプーンフル」を取り上げていて、そこには前年に亡くなった旧知のジャック・ブルース(2008年12月16日)をフィーチャー。そのアルバム、ザ・ビートルズの「エリナー・リグビー」を1人ギターで弾いたり、「ユー・アー・マイ・サンシャイン」をしんみり歌ったりもしている。先に触れた、「テーマ・フォー〜」はジャック・ブルースの1969年曲だ。ウェストが1960年代半ばに組んでいたザ・ヴェイグランツは著名コンピレーション『Nuggets: Original Artyfacts from the First Psychedelic Era 1965-1968』(Elektra 、1972年)に曲が入っているが、それはオーティス・レディング「リスペクト」のカヴァーだった。

▶︎過去の、フェリックス・キャヴァリエ/ヤング・ラスカルズ
http://43142.diarynote.jp/201009171756396188/
https://43142.diarynote.jp/201608020802517108/
▶過去の、ジャック・ブルース
http://43142.diarynote.jp/?day=20081216
▶︎過去の、ザ・フー
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/LIVE-2001-11.htm ジョン・エントウィッスル 2001年11月9日
https://43142.diarynote.jp/200810010211566772/ 映画
https://43142.diarynote.jp/200811201240456237/
▶︎過去の、ストーンズ関連
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月15日
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)、15日
https://43142.diarynote.jp/201904200941516964/

<今日の、1枚>
 ディスク・レヴューを頼まれた、ディズニー映画『ソウルフルワールド』のサウンドトラックを聞いている。その柱となる音楽提供者はトレント・レズナーと英国人アッティカス・ロスのナイン・インチ・ネイルズ(2000年1月11日、2005年8月13日)組と、ニューオーリンズ出身で在NYのピアニスト/シンガー/プロデューサーであるジョン・バティステ(2010年6月13日)。レズナーとロスはいろいろと映画音楽に絡んでいるが、ディスニー映画にも関わっていたのか。そちらは、アンビエント&淡いピコピコ系の音の波と形容したくなるもの。一方、ここ10年で活動範囲をぐわーんと広げている曲者バティステのほうはジャズの語彙を使い、多様に迫る。本人が歌うザ・インプレッションズ曲「イッツ・オールライト」のカヴァーもある。また、コディ・チェスナット(2013年10月24日)による生ギター弾き語り曲も同作には収録されている。今年、バティステはヴルフペックの刻み大王ギタリストのコリン・ウォンとの連名作『Meditations』を出した。ウォンの自主リリースとなる同作は、バティステの静謐なアコースティック・ピアノ演奏が聞けるアルバムで、音大出のコリン・ウォンは漂う最小限のギター音を提供している。やっぱり、2人とも素敵にとらえどころがない。

▶︎過去の、ナイン・インチ・ネイルズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
https://43142.diarynote.jp/200508152007550000/
▶︎過去の、ジョン・バティステ
https://43142.diarynote.jp/201006181521416566/
▶︎過去の、コディ・チェスナット
https://43142.diarynote.jp/201310250811154883/

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