まず、ヒューマントラストシネマ渋谷で、2018年フィンランド/ノルウェー映画を見る。ここでの映画「ヘヴィ・トリップ」上映は、朝の9時25分からの回だけ。60席の場内はすんごい空いていたが、受け付け階にはそれなりに人がいた。少し遅れて別シアターで始まる映画版「ダウントン・アビー」を見る人たちなのだろうか。その元となる英国TVシリーズはシーズン1だけはさくっと見てよくできていると思ったが、その後も光TVチャンネルにおいてシーズン6まで見ることができるものの、見ていない。

 フィンランド田舎のアマチュアのワケあり青年ヘヴィ・メタル・バンド、隣国のフェスを目指す。といった大筋の、破天荒なコメディ映画。もうヴァイキング愛好会まで出てくるものなあ。なんか、笑いの音楽映画として既知感はところどころあるものの、無理なく、ケラケラ見させる。

 これを見て、ヘヴィ・メタルって、北欧版ヤンキー行為なの? と、ふと思う。とともに、その偽悪的な判を押したような喉を潰したヴォーカル・スタイルに俺はこれがダメなんだよなと確認しつつ(それがラップだったら、意外にいけるかもと主人公バンドのリハを見ながら思った)、ヘヴィ・メタルをやるのは真面目な青年たちが悪ぶりたいはけ口として邁進する行為なのかとも感じる。すると、ヘヴィ・メタラーの多い北欧は真面目な人が多いということになるナ。

 続いては、TOHOシネマズ渋谷で、2019年アメリカ映画「フォードvsフェラーリ」を見る。映画「ヘヴィ・トリップ」終了後にチケットを買ったときはまだガラガラの席表示だったが、開演時間を少し過ぎて入ったとき(TOHOシネマズは本編上映前の宣伝告知が長すぎて、いい加減にしろとなる)には半分は埋まっていた。

 1960年代中期の仏ル・マン24時間耐久レースのフォードとフェラーリの確執ありの攻防模様を描く映画だ。会社規模で言うと米国メジャーと欧州インディといった感じで話にならないのだが、こと自動車レースとなるとまた別。フェラーリもアコギなところもいろいろあったはずだが、フォードという悪車ばかり出して結局倒産寸前にまでなった米国を代表する虚栄心だけはデカいダメ企業(その認識は、映画の作り手にもあったかもしれない。レース結果の顛末の扱いに触れると、そうなのかもとふと思う)を話の中央に置き、タイアむき出しのワン・シーターのレーシング・カーではなくプロト・タイプながら屋根付き2シーターの自動車のレースを扱うというところに、かつて相当カー・レース(ま、F1ですが)にはまったことがあるぼくはいまいち醒めるところもありはするものの、それでも面白い。とにかく、カー・レースのシーンは本当に見入らせる。その際、音楽はハンス・ジマーとかを例に出したくなる浅薄なシンセサイザー・サウンドが使われるが、それもなんかあっているものなあ。2時間半という長めの映画だが、もうジレずに見とおせちゃう。本日、2本目の映画であったにも関わらず。

 しかし、主人公レーサーであるケン・マイルス役の、実際のマイルスと同じ在米英国人であるクリスチャン・ベールはお得な役を得たなと、皆んな思うのではないか。ぼくは2013年米国映画「アメリカン・ハッスル」の演技に関心したことがあるが、こっちの方が好きかもしれない。そういえば、映画にはエンツォ・フェラーリ役やヘンリ-・フォード2世役や後にフォードの社長やクライスラーの会長にもなるリー・アイアコッカ役も出てくる。当時の米国国務長官は1960年にわずかながらフォードの社長を務めた分析くんのロバート・マクナマラだった。彼をホワイト・ハウスに引っ張ったのは、ジョン・F・ケネディでしたね。

 ところで、映画「ヘヴィ・トリップ」にしても、映画「フォードvsフェラーリ」にしても男の映画であり、バカなところも含めて、男の素敵を描いた作品と言える。まあ、後者はそこに米国映画らしくファミリーも絡めてはいるものの。ともあれ、ヘヴィ・メタルにせよ、自動車レースにせよ、完全な男社会。やっぱり、オトコのほうが楽しみの選択肢は広いのか。一応、リベラルな態度を取りたい人なので、女性の方々ごめんなさいという気持ちに少しなった。でも、女性だって、女性だけの誉れがいろいろあるんだと思う。

<今日の、お日様>
 朝起きて新聞を読んでいるうちに、燦々と日が部屋に差し込む。晴天の日は毎度のことだが、室内の温度がごんごん上がる。冬晴れの部屋のなかって、本当に快適だな。実は昨日少し発熱し飲みの用事をごめんなさいし、今日も安静かなと思っていたのだが、気持ちいいので、朝からで出かけちゃうことにした。ヒヒヒ。ル・マン24に関することことで、昔ぼくはこんなことを書いた(一番、最後のほう)。https://43142.diarynote.jp/201205080615346806/ 。今は、すっかりレースの知識は忘却のかなたとなった……。

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