虎ノ門・ワーナー・ブラザース映画神屋町試写室で、2019年米国映画「黒い司法 0%からの奇跡」を見る。

 来月末から日本公開される映画で、原題「Just Mercy」。まあ、法廷シーンもあり、内容を反映してはいるのだが、この邦題はその本質からは離れる。だって、この映画、完全なブラック・ムーヴィだもの。音楽担当者は西海岸白人のジョエル・P・ロス。彼が作るいかにもな映画音楽的断片とともに、随所に黒人霊歌/ゴスペル曲が使われる。それは彼が少し白く翻訳したものか、そういうメロウなゴスペル・ヴァージョンを集めたのかは、エンド・ロールの曲クレジットがちゃんと見ることができず判別がつかなかったが、それはなかなかに映画の動きにフィット。でもって、「Just Mercy」という原題のポケットの在処にも気づかされるというわけですね。

 冤罪や不条理な審議のもと死刑囚となってしまった黒人がたくさんいる、人種差別が色濃い南部のアラバマ州が舞台となる映画。時代は1988年から約5年間で、この映画は事実に基づくというクレジットが冒頭に出される。ハーヴァード大学を出たばかりのアフリカ系新進弁護士の理想に燃えた弁護活動を追うストーリーを持ち、主人公の弁護士役のマイケル・B・ジョーダンが共同プロデューサーを兼ね、もう1人の主役となる囚人はジェイミー・フォックス(2004年11月15日、2009年3月13日、2007年1月18日)。監督と共同脚本は、ハワイ出身でアイルランドやチェコや日本の血をひくディスティン・ダニエル・クレットンがしている。

 2時間10分超えの作品。そして、もーゲロ真面な映画。一切笑いの要素もなく扇情的なところもなく、逆境100%の状況下での黒人弁護士のドン・キホーテ的活動の様が描かれるのだが、その高潔な戦いがいかにもありそうな話ばかり。なんか既知感たっぷりと感じてしまい、多少冷めて映画を見ている自分が途中まではいた。

 だが、真ん中過ぎての、1人の囚人に死刑執行がなされるシーンで、もうぐぐぐいっと引き込まれる。そのころから、多大な黒人霊歌効果も出てきて、こりゃすごいと頷く。で、あとは一気にクライマックスへ。事実を並べる最後のシークエンスもとてもパワフルだ。しかし、30年前にも南部には酷い黒人差別が残っていたということをストレートに示すこの映画は、それは今もいまだに、という含みも感じさせるものとなっているか。あれれと思ったのは、アラバマ州の死刑囚が集められる刑務所は皆独房だが、TVやラジオを部屋に置くことができること……。

▶︎過去の、ジェイミー・フォックスが出演する映画
http://43142.diarynote.jp/200411170827380000/
https://43142.diarynote.jp/200701211122480000/
https://43142.diarynote.jp/200903141236392080/

<今日の、ポカ>
 15時半からの試写であったのだが、15時開始と勘違い。まだ、試写場が空いておらず、その施設が入っている城山ガーデン周辺を散策。すぐそばにオークラやカナダ大使館もあるハイソ目の地区だが、すぐ真向かいに大手スーパー(100円ショップ併設)や牛丼店があって、あらら。試写後は、馴染みの店回り也。書き初めもやった。

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