映画「CLIMAX クライマックス」。映画「カツベン!」。
2019年10月15日 音楽 六本木・キノフィスムズ試写室で、2018年フランス/ベルギー映画「CLIMAX クライマックス」を見る。おお、こんなん。11月1日より、公開される。
監督と脚本は、1963年ブエノスアイレス生まれのギャスパー・ノエ。NYを経て、1976年以降はフランスに住み、映画作りもパリの学校で学んでいる。というわけで、フランス映画界の人としていいだろうが、尖っている。
アメリカ公演のため、欧州在住のダンサーたちがオーディションで集められ(多くはフランス人で、フランス語が主の言語。ドイツ人など非フランス語圏の人が会話に入る場合は英語が用いられている)、人里離れた場所で最終リハーサルを終え、そのまま打ち上げパーティとなる。そこにはLSDが混入されたサングリアもあり、それらを飲んだダンサーたちは……。
阿鼻叫喚、陰陰滅々。前々から激ヤバな作風で知られる監督らしいが、この単純と言えば単純なプロット(実在の事件にインスパイアされたらしい)をぐちゃぐちゃに膨らませている。通常のエンドロールのクレジットが冒頭で流されたり、混乱を表すため終盤は上下が逆の映像になったり(字幕も逆に出される)、途中で大きな文字で出演者名や楽曲担当者の名前が出されたりとか、何かと定石外しの部分も介しつつ、負の情緒を撒き散らしていく。
一応、時代設定は1996年のよう。音楽はゲイリー・ニューマン、M/A/R/R/S、ダフト・パンク、エイフェックス・トゥイン、ソフト・セル、ジョルジオ・モロダー(2013年5月28日)、他。監督はダフト・パンクと仲良しで、そのトーマ・バンガルテル(2018年8月15日、参照)が書き下ろした曲も使っている。夜があけて強者どもが夢の跡的なシーンに流されるのは、ベタにザ・ローリング・ストーンズ(2003年3月15日)のお涙頂戴曲「アンジー」。だが、ヴォーカルは出てこないインスト。これヴォーカルを抜いたのか、似せたものを使ったのか?
終始4つ打ち音楽がかかり、ダンス・シーンも多い。1人を除き、出演者はみな役者ではなくダンサーたちだそうだ、その比重から言えば、ダンス音楽とダンスの映画と言ってもいいだろうが、そうは問屋がおろさない。もう一度見るかと問われれば、見たくない。でも、本作の場合はその感想が決して否定的な感想にはならないだろう。
▶︎過去の、トーマ・バンガルテルが出てくる映画
https://43142.diarynote.jp/201808160646059913/
▶︎過去の、ジョルジオ・モロダー
https://43142.diarynote.jp/201305291024093851/
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)。15日
https://43142.diarynote.jp/201904200941516964/ ストーンズ展
次は、周防正行監督の2019年映画「カツベン!」を見る。銀座・東映本社試写室。→下に映画館がある古い建物、試写室に机が並ぶオフィス内を通っていかないと行けないという構造になっており、少し困惑した。この人気監督にとって5年ぶりとなる作品だそう。周到に準備したのだろうな。脚本と監督補は片山章三。音楽は周防作品の常で、周防義和。
カツベンとは、活動映画の弁士=活弁。実は弁士というのは日本独自の存在で、100年前の一時期、日本ではサイレント映画の時代に映像と観覧者との間に入って語りを入れた弁士はスター的な存在で、人気者は相当な収入を得ることができたという。だが、じきにトーキー(音声付き映画)が出てきて、弁士の活躍の場はなくなっていった。
映画の舞台は大正時代、1925年。いろんな人間模様を絡ませており、無声映画や日本映画界萌芽期への胸いっぱいのリスペクトや愛は山ほど。映画館内で流れる数々の実在の無声映画は新たに撮られていて、本当に熱意あふれる。映画に合わせ弁士が話すあいだ随時生の音楽もつけらていたことを映画は伝え、主人公がいる映画館ではクラリネット、三味線、鳴り物の3人が担当。その和洋折衷の音楽、なかなか魅力的だった。主役の男女はTVドラマや邦画をあまり見ないぼくにとっては初めて見る俳優さんたちで、それも新鮮だった。
エンディングで用いられるのは、様々なハイカラな固有名詞と当時の洒脱の発露である言葉遊びや風刺が盛り込まれる「パイノパイノパイ(東京節)」(合衆国曲がベースにある曲で、1918年初出)で、それを奥田民生(2000年6月22日、2003年3月13日、 2006年12月22日、2010年10月26日、2013年8月11日)がちゃらんぽらんに歌っている。榎本健一からソウル・フラワー・モノノケ・サミットやザゼン・ボーイズ(2005年7月16日)まで様々な人たちが取り上げているこの曲のメロディは、劇中でも使われる。
ヒネたぼくにも存分に楽しめた、エンターテインメント映画。青春映画のように、爽やかでもある。12月13日から、一般公開。好評を受け、ヒットするのではないだろうか。あ、終わの部分は映画「ブルース・ブラザース」のそれを、ぼくは想起した。
▶︎過去の、奥田民生
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm バーナード・ファウラー、ブロンディ・チャップリン、リサ・フィッシャー、ダリル・ジョーンズ、奥田民生、小原礼、沼澤尚
https://43142.diarynote.jp/200612281419530000/
https://43142.diarynote.jp/201010301012548114/
https://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
▶︎過去の、中川敬/ソウル・フラワー・ユニオン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/201103271555032719/
▶︎過去の、向井秀徳
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm ナンバーガール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm ナンバーガール
http://43142.diarynote.jp/200507200104370000/ ザゼン・ボーイズ
http://43142.diarynote.jp/201009231554333481/ 渋さ
https://43142.diarynote.jp/201809261358593168/ KIMONOS
<今夏の、よかったこと>
それは、この6月に電気代も東京ガスのほうに一括支払いにしたことで決まりですね。東京電力↓↓↓の人なんで(件の原発事故で、誰も罪を問われないというのはありえないとぼくは思う)、ずっと前からそうしたかったのだが、ズボラなものでずっとやらずにいた。手続きはPCでサクっとでき、最初の3ヶ月だかは確か20%オフであったはずだが、その電気代がものすごく安いのには驚いた。エアコン1日中使いっ放しでも、5000円超えなかったのではないか。前の東京電力料金の半額(下手すると、それ以下)という印象を持たざるをえない。健全な企業の競争は吉である。それにしても、だいぶ涼しくなってきたなー。
監督と脚本は、1963年ブエノスアイレス生まれのギャスパー・ノエ。NYを経て、1976年以降はフランスに住み、映画作りもパリの学校で学んでいる。というわけで、フランス映画界の人としていいだろうが、尖っている。
アメリカ公演のため、欧州在住のダンサーたちがオーディションで集められ(多くはフランス人で、フランス語が主の言語。ドイツ人など非フランス語圏の人が会話に入る場合は英語が用いられている)、人里離れた場所で最終リハーサルを終え、そのまま打ち上げパーティとなる。そこにはLSDが混入されたサングリアもあり、それらを飲んだダンサーたちは……。
阿鼻叫喚、陰陰滅々。前々から激ヤバな作風で知られる監督らしいが、この単純と言えば単純なプロット(実在の事件にインスパイアされたらしい)をぐちゃぐちゃに膨らませている。通常のエンドロールのクレジットが冒頭で流されたり、混乱を表すため終盤は上下が逆の映像になったり(字幕も逆に出される)、途中で大きな文字で出演者名や楽曲担当者の名前が出されたりとか、何かと定石外しの部分も介しつつ、負の情緒を撒き散らしていく。
一応、時代設定は1996年のよう。音楽はゲイリー・ニューマン、M/A/R/R/S、ダフト・パンク、エイフェックス・トゥイン、ソフト・セル、ジョルジオ・モロダー(2013年5月28日)、他。監督はダフト・パンクと仲良しで、そのトーマ・バンガルテル(2018年8月15日、参照)が書き下ろした曲も使っている。夜があけて強者どもが夢の跡的なシーンに流されるのは、ベタにザ・ローリング・ストーンズ(2003年3月15日)のお涙頂戴曲「アンジー」。だが、ヴォーカルは出てこないインスト。これヴォーカルを抜いたのか、似せたものを使ったのか?
終始4つ打ち音楽がかかり、ダンス・シーンも多い。1人を除き、出演者はみな役者ではなくダンサーたちだそうだ、その比重から言えば、ダンス音楽とダンスの映画と言ってもいいだろうが、そうは問屋がおろさない。もう一度見るかと問われれば、見たくない。でも、本作の場合はその感想が決して否定的な感想にはならないだろう。
▶︎過去の、トーマ・バンガルテルが出てくる映画
https://43142.diarynote.jp/201808160646059913/
▶︎過去の、ジョルジオ・モロダー
https://43142.diarynote.jp/201305291024093851/
▶過去の、ザ・ローリング・ストーンズ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm 3月13日(バック・バンド)。15日
https://43142.diarynote.jp/201904200941516964/ ストーンズ展
次は、周防正行監督の2019年映画「カツベン!」を見る。銀座・東映本社試写室。→下に映画館がある古い建物、試写室に机が並ぶオフィス内を通っていかないと行けないという構造になっており、少し困惑した。この人気監督にとって5年ぶりとなる作品だそう。周到に準備したのだろうな。脚本と監督補は片山章三。音楽は周防作品の常で、周防義和。
カツベンとは、活動映画の弁士=活弁。実は弁士というのは日本独自の存在で、100年前の一時期、日本ではサイレント映画の時代に映像と観覧者との間に入って語りを入れた弁士はスター的な存在で、人気者は相当な収入を得ることができたという。だが、じきにトーキー(音声付き映画)が出てきて、弁士の活躍の場はなくなっていった。
映画の舞台は大正時代、1925年。いろんな人間模様を絡ませており、無声映画や日本映画界萌芽期への胸いっぱいのリスペクトや愛は山ほど。映画館内で流れる数々の実在の無声映画は新たに撮られていて、本当に熱意あふれる。映画に合わせ弁士が話すあいだ随時生の音楽もつけらていたことを映画は伝え、主人公がいる映画館ではクラリネット、三味線、鳴り物の3人が担当。その和洋折衷の音楽、なかなか魅力的だった。主役の男女はTVドラマや邦画をあまり見ないぼくにとっては初めて見る俳優さんたちで、それも新鮮だった。
エンディングで用いられるのは、様々なハイカラな固有名詞と当時の洒脱の発露である言葉遊びや風刺が盛り込まれる「パイノパイノパイ(東京節)」(合衆国曲がベースにある曲で、1918年初出)で、それを奥田民生(2000年6月22日、2003年3月13日、 2006年12月22日、2010年10月26日、2013年8月11日)がちゃらんぽらんに歌っている。榎本健一からソウル・フラワー・モノノケ・サミットやザゼン・ボーイズ(2005年7月16日)まで様々な人たちが取り上げているこの曲のメロディは、劇中でも使われる。
ヒネたぼくにも存分に楽しめた、エンターテインメント映画。青春映画のように、爽やかでもある。12月13日から、一般公開。好評を受け、ヒットするのではないだろうか。あ、終わの部分は映画「ブルース・ブラザース」のそれを、ぼくは想起した。
▶︎過去の、奥田民生
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-6.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm バーナード・ファウラー、ブロンディ・チャップリン、リサ・フィッシャー、ダリル・ジョーンズ、奥田民生、小原礼、沼澤尚
https://43142.diarynote.jp/200612281419530000/
https://43142.diarynote.jp/201010301012548114/
https://43142.diarynote.jp/201308130851402454/
▶︎過去の、中川敬/ソウル・フラワー・ユニオン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/december1999live.htm
http://43142.diarynote.jp/201103271555032719/
▶︎過去の、向井秀徳
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm ナンバーガール
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm ナンバーガール
http://43142.diarynote.jp/200507200104370000/ ザゼン・ボーイズ
http://43142.diarynote.jp/201009231554333481/ 渋さ
https://43142.diarynote.jp/201809261358593168/ KIMONOS
<今夏の、よかったこと>
それは、この6月に電気代も東京ガスのほうに一括支払いにしたことで決まりですね。東京電力↓↓↓の人なんで(件の原発事故で、誰も罪を問われないというのはありえないとぼくは思う)、ずっと前からそうしたかったのだが、ズボラなものでずっとやらずにいた。手続きはPCでサクっとでき、最初の3ヶ月だかは確か20%オフであったはずだが、その電気代がものすごく安いのには驚いた。エアコン1日中使いっ放しでも、5000円超えなかったのではないか。前の東京電力料金の半額(下手すると、それ以下)という印象を持たざるをえない。健全な企業の競争は吉である。それにしても、だいぶ涼しくなってきたなー。
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