ずっと引きずってきた懸案が解決。サクっと気分転換したくなって晴天の暖かい昼下がり、試写会を二つはしごする。二番目のほうは、本国でも一般公開されたばかりだ。

 まず、六本木・アスミック・エース試写室で、米/中2018年映画の「マイル22」。完全にハリウッドな、CIA工作員アクション・サスペンス映画。全95分、もうテンポが早い早い。おれ、事前にストーリー記載を見ていなかったら、話についていけただろうか? 音楽はジェフ・ルッソという人がやっているが、ハンス・ジマーを思い出させるはったり路線にある音をこれでもかとつけていた。米国TVの「24」とか「PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット」らを彷彿させる作風ながら、残酷シーンも散見され、なるほどこれはTV番組ではなく映画だなと思った次第。

 その後は、東銀座・松竹試写室で2018年米国映画「ビール・ストリートの恋人たち」を見る。アフリカ系米国人有名作家/公民権活動家であるジェイムズ・ボールドウィン(1924〜1987年)の1974年小説「f Beale Street Could Talk 」(映画原題もこれ)を原作にするもので、監督(バリー・ジェンキンス。脚本も担当)や主な出演者も皆アフリカ系。ブラック・ムーヴィとも言えるのか。

 こちらは119分の映画で、映像のテンポも役者のセリフ回しもとてもゆっくり。先に見た映画との対比で、とてつもなくゆったりした映画に思えた。主な舞台はNYであり、時代は小説が発表された1970年代中期か。家で、レコードをかけるシーンが出てくる。だが、主となる劇中音楽はストリングス主体の上品なそれであり、テーマは黒人差別や家族の絆だったりするもの(意外に、メロ・ドラマっぽいストーリーなり)の格調高い作風ということができよう。あと、劇中での主人公たちの格好が趣味よし。それ、リアリティからは離れるが、ふふふとなれる。

 エンド・ロールで用いられるのは、ビリー・プレストン(1946〜2006年)がピアノ弾き語りにてゴスペル調で開くUS国歌的有名曲「マイ・カントリー・ティズ・オブ・ジー」。これ、もともと彼がやはり映画の主題歌(1977年「Twilight’s Last Gleaming」)として吹き込んだ曲のよう。このリベラル曲は心に染み、この曲をもってきたことがこの映画の最大の功績のようにぼくには思えた。また、映画冒頭では、<ニューオーリンズは、黒人のレガシーの土地>みたいなニューオーリンズ礼賛のボールドウィンの一文が紹介されるが、その記述がとても素晴らしい。

<今日の、銀座線>
 乗った車両内のすべての広告が、バッグその他の米国ブランド“マイケル・コース”のもの。ただし、カッコつけた男女の写真とブランド名だけで、一切の能書きはナシという大胆なイメージ広告展開がなされている。わかる人だけ分かれば良い、とそれは語っていたか。とともに、日本最古の地下鉄である銀座線はお洒落路線として広告業界では格付けされているのだと思った。

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