わあ、 今年のエストニアの日本市場への音楽働きかけの様はなかなか燃えていてすごい。今回は、5月に持たれた2回(5月23日、5月26日)に続くものとなる。青山・CAY。この晩は、3つの担い手が出た。

 まず、ポルカドット・アコーディオンという、エストニア人と日本人、二人の女性アコーディオン奏者のデュオ。まず、大きめの鍵盤式アコーディオンを持ったトゥーリキ・ガートシクが2曲演奏する。ゆったり、まったり。その後、ボタン式アコーディオンを抱えるかとうかなこが加わり合奏が始まる。去年お手合わせをしたら息がぴったりで、一緒にやることになったそう。

 次は、今年2度目の来日となる女性シンガー・ソングライターのマリ・カルクン(2012年12月4日、2018年5月23日)。肩掛け式ともう少し大きめの膝置き型の2種類の伝統弦楽器であるカンネルを弾きながら、エストニア語や地元古語のヴァイ語にて、伝統的な歌唱法も介しつつ歌う。と書いてしまうとアレだが、彼女の場合、英米の現代ポップ・ミュージックも知っており、それが伝統に根ざした自作曲を歌う彼女の表現に正しい現代性をもたらす。その新作『森の世界の中で ILMAMÕTSAN』はシンプルな楽器音の響きや歌声の多重を練り上げた末の現代トラッドの傑作とぼくは思っている。

 3つ目に出たのは、その名もトラッド・アタックという名の3人組。サンドラ・ヴァバルナ(バグパイプ、口琴、笛)、元カーリー・ストリングス(2016年9月28日、2018年5月23日)というヤルマル・ヴァバルナ(ギター)、トヌ・デュプリ(ドラム)という面々はプリセット音も用いて、やんちゃにして疾走感のあるトラッド・ビヨンド表現を展開する。妙にすがりつきがいのある呪術性もあり。その様はまさしく、グループ名のとおりというしかない。

▶︎過去の、マリ・カルクン
http://43142.diarynote.jp/201212131100492609/
http://43142.diarynote.jp/201805240836284188/
▶︎過去の、カーリー・ストリングス
http://43142.diarynote.jp/201610100851107027/
http://43142.diarynote.jp/201805240836284188/

<今日の、R.I.P.>
 NYラテン/ジャズ界のパーカッショニスト/トランペッターであるジェリー・ゴンザレス(2005年8月4日)が69歳で亡くなってしまった。2000年以降はスペインに移住し、住んでいたビルの階下の火事の煙を吸ったことが死因であったという。NYの裏町の移民音楽をリアルに奏でた男ゆえ、ちゃんとザ・ニュー・ヨーク・タイムズの電子版も1日付けでその訃報を報じている。それによると、スペインではフラメンコも演奏していたという。しかし、キップ・ハンラハンもさぞや悲しんでいる事だろう。彼のアメリカン・クラーヴェの第1弾はゴンザレスのリーダー・アルバム『ジャ・ジョ・メ・クレ』であり、同レーベルの録音セッションの要的な奏者であった。そういえば、ジャマラディーン・タクーマ(2014年7月28日)もフェイスブックで追悼していたな。キップ・ハンラハン名義作録音で知り合い、ジェリーとアンディのゴンザレス兄弟をタクーマは『Music World』(Gramavision,1986年)で呼んだのだった。
 それから数日前には、名ブルース・マンのオーティス・ラッシュの訃報も届いた。脳卒中に伴う合併症で9月29日没、享年84歳。いかにも、同時代的にギターが効いたなモダン・ブルースを届けたシンガー/ギタリスト。ぼくが見たのは、1980年代半ばのこと。彼の奥さんは日本人で、そのときに知りあったのか?
▶︎過去の、ジェリー・ゴンザレス
http://43142.diarynote.jp/200508060625180000/
▶過去の、キップ・ハンラハン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-1.htm
http://43142.diarynote.jp/201112171635194708/
▶︎過去の、ジャマラディーン・タクーマ
http://43142.diarynote.jp/201408051026553769/

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