渋谷・WWW。エストニアとフィンランドの担い手5組が出るショウケースの催し。かなり、混んでいた。皆、どこかトラッドともつながると書いていいのかな。

 まず、エストニアのシンガー・ソングライターのマリ・カルクン(2012年12月4日)。英語圏フォーキー表現の流れにあることもする人だが、この日は同国のトラッド絡みの行き方で持ち味をアピール。横置きの伝統多弦楽器をつまびきながら歌い、アコーディオンを手にする曲もあり。

 続くは、アメリカのブルーグラス編成をとるカーリー・ストリングス(2016年9月28日)。生理的に華やかで、訴求力ありと実感。この美男美女エストニア人4人組は3年連続の来日となるか。先のカルクンにしても彼女たちにしても、親身に働きかけ客に唱和させるなど、たくみ。また、彼女たちはなんと、荒井由実の曲もカヴァー。その際、歌詞カードなどは見ずに日本語で歌う。日本に対する正の思いあふれでますね。

 その後は、フォンランド勢が3組。まず、女性4人のアカペラ・グループのトゥーレタル。彼女たちには2016 年にインタヴューしているのだが、そのとき実演は外せない用事があって見ることがかなわなかったので、見れてうれしい。2012年の結成、4人がデンマークのロイヤル・アカデミーに留学したことがきっかけだった。ブルガリア勢のようなポリフォニー・コーラス隊ではなく、基本はリード・シンガーにバンド音を各人肉声に振り分けたようなことを披露する。ヒューマン・ビート・ボックス専任者もいて、モダン・ポップ文脈にあるアカペラ集団ということもできるか。

 歌とカンテレを演奏するマイア・カウハネンは、ソロにてパフォーマンス。まず歌に生気と力があるのに大きく頷く。立派なパフォーマーだな。もろに伝統的なようでいて、効果的に入る控えめなベース音やリズムも自らオペレートしていたよう。カンテレは赤色で、なんかノード系の楽器に見えた?

 最後はボタン式アコーディンを弾くアンティ・パーラネンの一人演奏なんだが、これにはぶっとぶ。もうダミ声で掛け声をあげなら、暴走機関車のごとくずんずん進んでいく。ストンプ音もばんばん拾われる。別にむずかしいことはしていないのだが、なんか『グリ・グリ』とか一番怪しいころのドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)みたいな臭みやイブツ感があってなんか抗しがたい。音楽は人間がやるもの、そんな当たり前のうれしい事実をきっちりと出してもいたか。彼、フジ・ロックの苗場食堂に出たらバカ受けするともしっかり思った。

▶︎過去の、マリ・カルクン
http://43142.diarynote.jp/201212131100492609/
▶︎過去の、カーリー・ストリングス
http://43142.diarynote.jp/201610100851107027/
▶過去の、ドクター・ジョン
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-5.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-3.htm
http://43142.diarynote.jp/200510030016390000/
http://43142.diarynote.jp/201202161725143619/
http://43142.diarynote.jp/201310050709459564/

<今日の。出演者たち>
 各出演者の持ち時間は、平等に35分であったよう。ながら、皆ちゃんと持ち味発揮、きっちり個性をアピールできていましたね。それぞれに自国語で歌っていたはずだが、皆MCはフツーに英語でやっていた。ところで、この土曜日には<フィネスト・サウンズ>と題した、やはりエストニアとフィンランドのジャズ・グループが4組出演する催しが新宿・ピットインである。両国って、すごい仲がいいんだな。

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