セシル・マクロリン・サルヴァント
2018年3月26日 音楽 発表したアルバムが2作続けてグラミー賞の最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム賞を受賞するなど、米国で今もっとも高評価を受けているジャズ・シンガー(まだ、20代)であるセシル・マクロリン・サルヴァント(2013年11月26日)の実にこなれた、聞きどころ満載の実演を南青山・ブルーノート東京で見る。ファースト・ショウ。
サポートは、マック・アヴェニュー他から4作のリーダー・アルバムを出しているピアノのアーロン・ディール(2013年11月26日)、弦アレンジも得意なベースのポール・シキヴィー(2013年11月26日)、そして昨年の夏以降にトリオの一角をになうようになったドラムのカイル・プール。みんな腕が立ち、臨機応変なサルヴァントの行き方を支える。
頭のほうは、少し穏健な行き方をとっていると思わせられたか。ブロサッム・ディアリー調というと誇張になってしまうが、けっこうスウィート目な声づかい(ファルセットも多用)な猫かぶり唱法を取りつつ、格式高いジャズの襞をほんのりお茶目さを介しつつ出そうとしていると感じた。そこらあたり、気分でどうにでも行けるという彼女のキャパシティの大きさもすうっと聞き手に伝えるものではなかったか。そうしつつ、機を見るに敏という感じでぐわあと発展の扉を開けちゃうときもある。それ、まこと快感だ。
悠々、トリオ伴奏と相乗しながら、私の歌を開く。ベーシストとの渋いデュオもあり、終盤はマイクから口を最長60センチ離して、堂々のアカペラもかます。それ英語で歌われていたが、歌い口からアフリカを透けて見させるものであった。素晴らしいっ! 彼女は作曲もする人だが、このショウはボブ・ドロウ(2013年6月28日、2015年6月5日)やコール・ポーターらのスタンダードが多かったか。彼女はブルースとジャズが分化する前の古い曲も取り上げ見事に処理するが、終盤はラグタイム調曲など、オールドめの曲を並べた。
▶︎過去の、セシル・マクロリン・サルヴァント
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、アーロン・ディール
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ポール・シキヴィー
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ボブ・ドロウ
http://43142.diarynote.jp/201307010908249319/
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
<今日の、引用>
ステージ横には。桜が飾られている。例年、この時期にキャッシャー横には飾られていたが、ステージのほうはどうだったか。なんにせよ、上品な華やかさが加えられ、そりゃ笑みを誘いますね。演者もうれしいに違いない。
マイアミ育ちで、ハイチやフランスの血をひく家系のため、家ではフランス語を話していたという。それゆえ、高校卒業後にフランスに留学したのは自然な流れで、そこであなたの声はジャズに向いていると言われて、彼女はクラシックからジャズに転向した。
Q今作(『ウーマン・チャイルド』)はジャズたる決定的な深みを持ちつつ、一方では個性的な今のジャズ・ヴォーカルとしての要点も抱えており、得難い精気のようなものも息づいています。ジャズを歌う人は沢山いますが、その他の担い手の中に埋もれない自分だけの個性を出したいという意志はやはり強いのですよね?
「そうありたいし、そうしようと思っています。でも、それを成し遂げるのは楽なことではない。私の好きなジャズのサウンドというのは、今のトレンドにない、ブルースが持っていたような、ラフであったり、ちょっと泥臭い部分であったり。そういうことって、逆に暖かみにも繋がるでしょ? 間違いもアリとするような、あまり完璧ではないような世界を作り出して行くのは難しいことですよね。私はそうしたことを通して過去の遺産をちゃんと取り入れ、きっちり自分を出していきたいんです。とはいえ、現代のジャズで好きな人も沢山います。グレッチェン・パーラト2009年2月3日、2012年2月22日、2013年3月19日、2016年9月4日、2017年9月20日」は本当に素晴らしいと思うし、サンダーキャット(2017年4月27日)とかも好きです」(2013年にしたインタヴューより)
▶過去の、グレッチェン・パーラト
http://43142.diarynote.jp/200902040424558168/
http://43142.diarynote.jp/201202251301444372/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709240954004876/
▶︎過去の、サンダーキャット
http://43142.diarynote.jp/201704280745098662/
Qぼくがあなたの表現を聴いてすごいというか、奇異に感じてしまうのは、ちゃんとクラシックを学んだ末に、ジャズをやっていることなんです。前にインタヴューしたとき、今もクラシックを歌いたい言っていましたし(一方で、ブルーグラスにも興味があるなんて、発言もしていた)、そいう人がジャズの決定的なフィーリングや技巧を捉えた事を成し遂げていることに不思議な思いを得てしまうんです。これは、本当にレアなケースであると。
「その意見には同意します。クラシックのシンガーがジャズを歌おうとするとなんか変な感じがしちゃいますね。クラシックの素養が悪い方に出てしまう。私がジャズを歌い始めた時に思ったのは、そういうことはしたくないということでした。それで、クラシックの影響が見えないように歌うことを心がけています。でも、一人だけジャズ・シンガーでクラシックの影響を受けた歌い方をするのがサラ・ヴォーンですね。彼女はそれを全く違和感なく出している人。一音だけクラシックの技術を使って出すこともあるけど、それは僅か。だって、マイクがあるから、それも必要ないでしょ」(2017年にしたインタヴューより)
サポートは、マック・アヴェニュー他から4作のリーダー・アルバムを出しているピアノのアーロン・ディール(2013年11月26日)、弦アレンジも得意なベースのポール・シキヴィー(2013年11月26日)、そして昨年の夏以降にトリオの一角をになうようになったドラムのカイル・プール。みんな腕が立ち、臨機応変なサルヴァントの行き方を支える。
頭のほうは、少し穏健な行き方をとっていると思わせられたか。ブロサッム・ディアリー調というと誇張になってしまうが、けっこうスウィート目な声づかい(ファルセットも多用)な猫かぶり唱法を取りつつ、格式高いジャズの襞をほんのりお茶目さを介しつつ出そうとしていると感じた。そこらあたり、気分でどうにでも行けるという彼女のキャパシティの大きさもすうっと聞き手に伝えるものではなかったか。そうしつつ、機を見るに敏という感じでぐわあと発展の扉を開けちゃうときもある。それ、まこと快感だ。
悠々、トリオ伴奏と相乗しながら、私の歌を開く。ベーシストとの渋いデュオもあり、終盤はマイクから口を最長60センチ離して、堂々のアカペラもかます。それ英語で歌われていたが、歌い口からアフリカを透けて見させるものであった。素晴らしいっ! 彼女は作曲もする人だが、このショウはボブ・ドロウ(2013年6月28日、2015年6月5日)やコール・ポーターらのスタンダードが多かったか。彼女はブルースとジャズが分化する前の古い曲も取り上げ見事に処理するが、終盤はラグタイム調曲など、オールドめの曲を並べた。
▶︎過去の、セシル・マクロリン・サルヴァント
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、アーロン・ディール
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ポール・シキヴィー
http://43142.diarynote.jp/201311270854089602/
▶過去の、ボブ・ドロウ
http://43142.diarynote.jp/201307010908249319/
http://43142.diarynote.jp/201506070920231979/
<今日の、引用>
ステージ横には。桜が飾られている。例年、この時期にキャッシャー横には飾られていたが、ステージのほうはどうだったか。なんにせよ、上品な華やかさが加えられ、そりゃ笑みを誘いますね。演者もうれしいに違いない。
マイアミ育ちで、ハイチやフランスの血をひく家系のため、家ではフランス語を話していたという。それゆえ、高校卒業後にフランスに留学したのは自然な流れで、そこであなたの声はジャズに向いていると言われて、彼女はクラシックからジャズに転向した。
Q今作(『ウーマン・チャイルド』)はジャズたる決定的な深みを持ちつつ、一方では個性的な今のジャズ・ヴォーカルとしての要点も抱えており、得難い精気のようなものも息づいています。ジャズを歌う人は沢山いますが、その他の担い手の中に埋もれない自分だけの個性を出したいという意志はやはり強いのですよね?
「そうありたいし、そうしようと思っています。でも、それを成し遂げるのは楽なことではない。私の好きなジャズのサウンドというのは、今のトレンドにない、ブルースが持っていたような、ラフであったり、ちょっと泥臭い部分であったり。そういうことって、逆に暖かみにも繋がるでしょ? 間違いもアリとするような、あまり完璧ではないような世界を作り出して行くのは難しいことですよね。私はそうしたことを通して過去の遺産をちゃんと取り入れ、きっちり自分を出していきたいんです。とはいえ、現代のジャズで好きな人も沢山います。グレッチェン・パーラト2009年2月3日、2012年2月22日、2013年3月19日、2016年9月4日、2017年9月20日」は本当に素晴らしいと思うし、サンダーキャット(2017年4月27日)とかも好きです」(2013年にしたインタヴューより)
▶過去の、グレッチェン・パーラト
http://43142.diarynote.jp/200902040424558168/
http://43142.diarynote.jp/201202251301444372/
http://43142.diarynote.jp/201303221327416224/
http://43142.diarynote.jp/201609201052518160/
http://43142.diarynote.jp/201709240954004876/
▶︎過去の、サンダーキャット
http://43142.diarynote.jp/201704280745098662/
Qぼくがあなたの表現を聴いてすごいというか、奇異に感じてしまうのは、ちゃんとクラシックを学んだ末に、ジャズをやっていることなんです。前にインタヴューしたとき、今もクラシックを歌いたい言っていましたし(一方で、ブルーグラスにも興味があるなんて、発言もしていた)、そいう人がジャズの決定的なフィーリングや技巧を捉えた事を成し遂げていることに不思議な思いを得てしまうんです。これは、本当にレアなケースであると。
「その意見には同意します。クラシックのシンガーがジャズを歌おうとするとなんか変な感じがしちゃいますね。クラシックの素養が悪い方に出てしまう。私がジャズを歌い始めた時に思ったのは、そういうことはしたくないということでした。それで、クラシックの影響が見えないように歌うことを心がけています。でも、一人だけジャズ・シンガーでクラシックの影響を受けた歌い方をするのがサラ・ヴォーンですね。彼女はそれを全く違和感なく出している人。一音だけクラシックの技術を使って出すこともあるけど、それは僅か。だって、マイクがあるから、それも必要ないでしょ」(2017年にしたインタヴューより)
コメント