ぼくがトップ級に注視したいと思わせるジャズ・ピアニストのジェイソン・モラン(2007年1月16日、2007年1月17日、2008年4月6日、2013年1月6日、2015年1月20日、2015年1月21日、2017年4月11日)が、ベーシストのタラス・マティーン(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)とドラムのナシート・ウェイツ(2007年1月16日、2007年1月17日、2015年1月20日)からなるすでに15年強一緒にやっている不動のトリオでまたやってきた。南青山・ブルーノート東京。ファースト・ショウ。

 過去と輝かしい今がつながる、素晴らしいピアノ・トリオ表現。けっこうセットによって曲をごんごん変えるようだが、ぼくが見たこの日のファースト・ショウではセロニアス・モンクやモランが師事をしたジャッキー・バイアードの曲などもオリジナルとともに自在に開く。また、部分的にはステージ後方に、モランをスプ面から映す映像やグラフィック映像なども控えめに投影された。

  おもしろいなと改めて思ったのは、マティーンが相変わらずポルトガル製のフレットレスの電気ベースをいかにも縦ベース然と弾くことと、ウェイツが小さなジャズ仕様のドラム・セットのもとレギュラー/マッチド・グリップの併用で今でもあるビートを悠々と配給していること。古い偉人ジャズ・ピアニストの奏法を思うまま混ぜるモランのブリリアントな指さばき(一部、ポーンと和音を弾くとさあっと空気が代わると思わせられる箇所もあり)もそうだが、このトリオは旧い〜新しいの領域が他者と違う物差しや設計図をやっほーな感じで持っている! その様、本当に魅力的で、個性的だ。そして、1989年デビュー作以降すっとブルーノートに在籍してきたモランは現在イエスという自己レーベルを持ち作品リリースのペースをあげているわけだが、そんな彼が本当にいい状態にあるとも思わされた。

 文句を言うとすれば、今回はピアノ・ソロ公演がもたれなかったことと、超お洒落だったモランの格好がどんどんフツーになっていることなり。来週木曜毎日新聞夕刊にライヴ評が載ります。

▶過去の、ジェイソン・モラン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/200804081928430000/
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
http://43142.diarynote.jp/201501220923108418/
http://43142.diarynote.jp/201704131639031673/
▶︎過去の、タラス・マティーン
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/
▶︎過去の、ナシート・ウェイツ
http://43142.diarynote.jp/200701201417260000/
http://43142.diarynote.jp/200701201418210000/
http://43142.diarynote.jp/201501210901575140/

<昨日の、訃報>
 南アが輩出した偉大なトランぺッター(フリューゲルホーン奏者)であるヒュー・マセケラ(2005年7月20日)が、ヨハネスブルグでおなくなりになった。1939〜2018年、彼はこの10年ほど前立腺がんをわずらっていたという。彼がトランペットを手にした動機と反アパルトヘイトの意思は表裏一体のものだった。それゆえ、米国をはじめいろいろな所で活動した彼だが、亡命後に祖国に戻ることが許されたのは風向きが変わりネルソン・マンデラも釈放された1990年のことだった。「グレイジング・イン・ザ・グラス」という68年全米No.1ヒットも持つ彼だが、1965年以降米国ではチサというレーベルを持ち、ユニ/MCA、ブッダ、モータウン、ブルー・サムなどが配給や資金提供で助力。自身の諸作ほか、やはり米国で活動したソウェト出身シンガーのレッタ・ムブール、エレクトリック・ベーシストの走りでウェス・モンゴメリーの兄弟でもあったモンク・モンゴメリーらのアルバムもそこからリリース。また、全盛期たるブルー・サム時代のザ・クルセイダーズのアルバムもチサのロゴとともに当初送り出された。
▶︎過去の、ヒュー・マセケラ
http://43142.diarynote.jp/200507220552110000/
▶過去の、ザ・クルセイダーズ
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/

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