まず、青山・プラッサオンゼで、ポルトガル語で歌うブラジル味咀嚼都会派歌手のTOYONO (1999年6月3日、2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日)のワーキング・バンドを見る。鍵盤(一部、アコーディオン)の渡辺剛、電気ベースの岡雄三、ドラムの宮川剛というずっと一緒にやっている面々で、やはりずっと在籍していたギターの竹中俊二(2007年8月23日、2008年1月31日、2009年6月12日、2009年9月26日、2009年12月18日、2010年2月23日、2010年12月22日、2014年7月23日、2015年1月10日、2015年6月17日、2016年11月7日)が抜けての改訂編成によるライヴとなる。
そしたら、ありゃ。ぼくにとっては、今までで一番しっくり来るペリカーノ・ヘヴンの実演だった、その一因はやはりバンド構成が変わったことにあったか。達者ではあったがフュージョンぽかったギター音がなくなったのは大きい。それにより、”オルタナティヴにして、歌心を持つブラジリアン・ミュージック・ビヨンドを送り出すバンド”というイメージがとても濃いものとなった。そして、各奏者の個性もより前に出て、いいバンドであるなとも感じさせられた。
ギター音がなくなったことでエレクトリック・ピアノ音の演奏やソロが前に出る比重は大きくなったのだが、その実力者ぶりには驚く。また、ブラジルの打楽器音とつながっている(スネアの嵩が深いものを使用していた。レギュラー・グリップで演奏)ことを実感させるドラム音も格好いいの一言。とくに、ハイハットの音はメタルっぽい音質を持つもので、これはかなり現代的とも感じるし、ヒップホップが前線にある時代のドラム音であるとも感じさせる。すごいぞ。ベースも創意を散りばめつつボトムを支える。
オリジナルもやったが、ジョルジ・ベン(2008年9月7日、2014年7月21日、2014年7月23日)やシコ・ピニェイロ(2012年6月21日)らブラジル曲を主に披露。と書いてしまうと普通になってしまうが、そのアレンジがまたイケていて、大きく頷かせる。もう”モダン・ポップとしてのブラジル流れの音楽”という像を仁王立ちさせているもの。当然、ヴォーカルのラインも難しいものとなるのだが、TOYONOはなんなくそれをこなす。それには感心する。
ファースト・セット最後の曲はチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日、2016年9月16日、2017年9月2日)の「スペイン」。歌詞はフローラ・プリム(2000年7月10日)の妹であるヤナ・プリムが歌っていたものを聞き取り使ったそう。前にも書いたことがあるが、ぼくはこのこれ見よがしな哀愁技巧曲が大嫌い。それを得意げにやる人も、ぼくは基本二流以下と感じてしまう。が、ここで聞いたこの下司曲はスロウ化され静謐覚醒ヴァージョンともいうべきものになっていて、あぁこれはぼくがこれまで聞いたなかでNo.1の「スペイン」であると思った。
とかなんとか、新生TOYONOペリカーノ・ヘヴンは素晴らしい。ファーストのみで、この場を離れるのはとても後ろ髪ひかれた。で、ライヴをもっと見なきゃとも思うのだが、TOYONOのとりとめのないMCがぼくは苦手でそうもいかない。悪い印象を、過剰に持ちたくないから。彼女、今年は森俊之(2001年2月18日、2001年6月29日、2002年11月15日、2003年2月11日、2004年2月21日、2005年9月14日、2006年4月17日、2008年1月31日、2011年10月8日、2012年10月10日、2013年1月6日、2016年9月27日、2017年7月14日、2017年9月22日)を伴いブラジルで録音するようだ。
▶過去の、TOYONO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
http://43142.diarynote.jp/200708270314500000/
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/
http://43142.diarynote.jp/200906160733018341/
http://43142.diarynote.jp/200909291504366263/
http://43142.diarynote.jp/201001051624161036/
http://43142.diarynote.jp/201002280940361567/
http://43142.diarynote.jp/201012241100592422/
http://43142.diarynote.jp/?day=20140723
http://43142.diarynote.jp/201501131341317551/
http://43142.diarynote.jp/201506181125125625/
http://43142.diarynote.jp/201611101703321633/
▶過去の、ジョルジ・ベンジオール
http://43142.diarynote.jp/200809081534510000/
http://43142.diarynote.jp/201407221737554384/
http://43142.diarynote.jp/201407261219061857/
▶︎過去の、シコ・ピニェイロ
http://43142.diarynote.jp/201207031311348277/
▶過去の、チック・コリア
http://43142.diarynote.jp/?day=20060903
http://43142.diarynote.jp/200710121726160000/
http://43142.diarynote.jp/201609201820427313/
http://43142.diarynote.jp/201709101059289712/
▶︎過去の、フローラ・プリム
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-7.htm
▶︎過去の、森俊之
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-2.htm スガシカオ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-6.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2002-11.htm サンパウロ
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-2.htm ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/200402051858240000/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/200402211239510000/ アズ・ウィー・スピーク
http://43142.diarynote.jp/200509161722260000/ 大貫
http://43142.diarynote.jp/?day=20060417 ビッグ・ホーンズ・ビー
http://43142.diarynote.jp/200802051630130000/ TOYONO
http://43142.diarynote.jp/201006031536173725/ サンパウロ
http://43142.diarynote.jp/201110091300039780/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/201301151731112021/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
http://43142.diarynote.jp/?day=20160927 大貫妙子
http://43142.diarynote.jp/201707151654245284/ After School Hangout
http://43142.diarynote.jp/201709240955007593/ ナッシン・バット・ザ・ファンク
次の会場である代官山・晴れたら空に豆まいて に行くと、一番目の出演者である笹久保伸(2013年8月29日、2014年5月24日、2014年12月12日、2017年2月4日、2017年10月5日)のソロ・パフォーマンスの終盤。相変わらず、どこか人を喰ったMCをしていてクスッ。こちらの出し物は、久保田麻琴(2004年5月7日、2009年10月12日、2010年12月4日、2013年2月5日、2013年9月20日、2014年9月16日、2015年10月25日、2015年11月11日)が仕切る出し物なり。もちろん、卓扱いは彼がやっていた。
休憩を挟んで、まず場内にモノクロームのサイレント映画が異化作用を持つBGMとともに流される。カラカラという音も聞こえ、もしやと思えば、ちゃんと映写機が持ち込まれていた。とっても古いフィルム(クレジットは英語だった)らしい。笹久保は毎度のレパートリーを演奏したようだが、この晩は映画音楽を演奏するという括りが一応設定されていたよう。
そして、ヴァイオリン奏者の喜多直毅とピアニストの黒田京子のデュオによるパフォーマンスが始まる。両者ともに名前はいろいろ見ていて、ざっくり書けば喜多はタンゴ・ビヨンド、黒田は自由ジャズ+の奏者というイメージを持っていたが、両者は何かとデュオのライヴをしたり、アルバム作りをしている間柄らしい。
ミシェル・ルグラン、ガトー・バルビエリ他の映画曲を演奏していくが、その重なりを聞いてすぐに思ったは、両者ともちゃんとクラシックの研鑽を積んだ末に、確かな私としてのクリエイティヴィティ〜はみ出しや余白を出しているなということ。ぼくはクラシックを取り巻く環境に偏見を持つ人間で(でも、それは歳を取るとともにだいぶ弱まっていると思う)、クラシックという言葉を負の意味合いで出す場合も少なくないと思うのだが、ここでは完全に肯定的に出している。もう音のあり方が確かで、奥行きあり。滅茶、雄弁。特に喜多はかなり濁った音やピチカートによるかっとんだ音など多彩な音を出していて、耳をひく。確かなテクニックは軽自動車ではなく排気量のデカい車を得ているのと同じアドヴァンテイジを持つよなあと、変な発想もぼくは持った。けっこう哀愁に満ちていたり分かりやすいメロディを持つ曲のもと、その絡みは通り一遍ではなく、ちゃんとしたストーリー〜起承転結を持っているのにも頷く。また、現代音楽っぽいことをやっても、この単位は映えそうだなとも感じる。ぼくは現代音楽(やフリー・ジャズ)を起承転結を換骨奪胎した表現と捉えているので。
途中で1曲、昨年久保田制作のアルバムを出した浜田真理子が出てきて日本語の曲を歌う。普段はピアノも弾く彼女だが、ここでは歌だけ。アンコールではまず喜多と笹久保が哀愁曲をデュオで演奏。完全な、ぶっつけ本番であったそう。そして、もう1曲は黒田と浜田、そして急遽歌うことになったというおおたか静流(2016年11月10日)が出てきて、重なる。日本語歌もので、おおたかが関与した映画「しこふんじゃった。」の曲だという。おおたかの癖のある歌唱に続き浜田が歌うと、そのニュートラルな円満さが導く包容力がその魅力であるのかとも思った。
▶過去の、笹久保伸
http://43142.diarynote.jp/201309021134211584/
http://43142.diarynote.jp/201405271717357738/
http://43142.diarynote.jp/201412281015581474/
http://43142.diarynote.jp/201702081153548285/
http://43142.diarynote.jp/201710061415044353/
▶過去の、鬼怒無月
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100320
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▶︎過去の、おおたか静流
http://43142.diarynote.jp/201611111651363466/
▶過去の、久保田麻琴
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<今日の、覚醒>
温かい日差しが差し込む昼下がり、唐突にアルバムをレコード棚から引っ張りだす。故ハース・マルティネス(1999年4月21日)の1975年デビュー作、『ハース・フロム・アース』(ワーナー・ブラザーズ)。なんか、そのロビー・ロバートソン制作の佳作の断片が突然に頭のなかに響きだし、レコードをターンテーブルに乗せていた。その音とともに当時の事象や心持ちがさあーっと浮かび上がる。これもまた、音楽の記憶がもたらす贅沢な時間だな。そこにはガース・ハドソン(2013年8月2日)がオルガンで入るととともに、マルコム・セシルとロバート・マーゴウレフというスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の『インナーヴィジョンズ』期のシンセサイザー音を担った面々によるシンセ音も入っているが、“水の音”とか言えそうなそれらは久しぶりに聞いて、とても新鮮であった。その後、歌声のつながりからドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)を聞こうかとも思ったが、セシルが関与したリトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の『ディキシー・チキン』(1973年)、セシルとマーゴウレフが関与したランディ・ニューマンの『グッド・オールド・ボーイズ』(1974年)と続ける。ともに、やはりワーナー・ブラザーズ系作品ですね。お、前者にはマーク・ボランの嫁さんでもあったソウル・シンガーのグロリア・ジョーンズが入っていたのか。意識したことはなかったが、後者の管音や雰囲気とかが『ハース・フロム・アース』とつながるところがある。まあ、ライ・クーダー(2009年11月5日)などもそうだが、ともにレニー・ワロンカーとラス・タイトルマン絡みのアーティストですね。両盤にともに参加しているのはウェスト・コースト・ジャズ界流れのパーカッショニスト、ミルト・ホランドだ。この後も連鎖は2作つづいたが、以下省略。やはり、大切なアナログはずっと所有し続けたい。
▶︎過去の、ハース・マルティネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
▶︎過去の、ライ・クーダー
http://43142.diarynote.jp/200911071134384805/
そしたら、ありゃ。ぼくにとっては、今までで一番しっくり来るペリカーノ・ヘヴンの実演だった、その一因はやはりバンド構成が変わったことにあったか。達者ではあったがフュージョンぽかったギター音がなくなったのは大きい。それにより、”オルタナティヴにして、歌心を持つブラジリアン・ミュージック・ビヨンドを送り出すバンド”というイメージがとても濃いものとなった。そして、各奏者の個性もより前に出て、いいバンドであるなとも感じさせられた。
ギター音がなくなったことでエレクトリック・ピアノ音の演奏やソロが前に出る比重は大きくなったのだが、その実力者ぶりには驚く。また、ブラジルの打楽器音とつながっている(スネアの嵩が深いものを使用していた。レギュラー・グリップで演奏)ことを実感させるドラム音も格好いいの一言。とくに、ハイハットの音はメタルっぽい音質を持つもので、これはかなり現代的とも感じるし、ヒップホップが前線にある時代のドラム音であるとも感じさせる。すごいぞ。ベースも創意を散りばめつつボトムを支える。
オリジナルもやったが、ジョルジ・ベン(2008年9月7日、2014年7月21日、2014年7月23日)やシコ・ピニェイロ(2012年6月21日)らブラジル曲を主に披露。と書いてしまうと普通になってしまうが、そのアレンジがまたイケていて、大きく頷かせる。もう”モダン・ポップとしてのブラジル流れの音楽”という像を仁王立ちさせているもの。当然、ヴォーカルのラインも難しいものとなるのだが、TOYONOはなんなくそれをこなす。それには感心する。
ファースト・セット最後の曲はチック・コリア(2006年9月3日、2007年10月1日、2016年9月16日、2017年9月2日)の「スペイン」。歌詞はフローラ・プリム(2000年7月10日)の妹であるヤナ・プリムが歌っていたものを聞き取り使ったそう。前にも書いたことがあるが、ぼくはこのこれ見よがしな哀愁技巧曲が大嫌い。それを得意げにやる人も、ぼくは基本二流以下と感じてしまう。が、ここで聞いたこの下司曲はスロウ化され静謐覚醒ヴァージョンともいうべきものになっていて、あぁこれはぼくがこれまで聞いたなかでNo.1の「スペイン」であると思った。
とかなんとか、新生TOYONOペリカーノ・ヘヴンは素晴らしい。ファーストのみで、この場を離れるのはとても後ろ髪ひかれた。で、ライヴをもっと見なきゃとも思うのだが、TOYONOのとりとめのないMCがぼくは苦手でそうもいかない。悪い印象を、過剰に持ちたくないから。彼女、今年は森俊之(2001年2月18日、2001年6月29日、2002年11月15日、2003年2月11日、2004年2月21日、2005年9月14日、2006年4月17日、2008年1月31日、2011年10月8日、2012年10月10日、2013年1月6日、2016年9月27日、2017年7月14日、2017年9月22日)を伴いブラジルで録音するようだ。
▶過去の、TOYONO
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/livejune.htm エスピリト
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▶過去の、ジョルジ・ベンジオール
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▶︎過去の、シコ・ピニェイロ
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▶過去の、チック・コリア
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▶︎過去の、フローラ・プリム
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▶︎過去の、森俊之
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次の会場である代官山・晴れたら空に豆まいて に行くと、一番目の出演者である笹久保伸(2013年8月29日、2014年5月24日、2014年12月12日、2017年2月4日、2017年10月5日)のソロ・パフォーマンスの終盤。相変わらず、どこか人を喰ったMCをしていてクスッ。こちらの出し物は、久保田麻琴(2004年5月7日、2009年10月12日、2010年12月4日、2013年2月5日、2013年9月20日、2014年9月16日、2015年10月25日、2015年11月11日)が仕切る出し物なり。もちろん、卓扱いは彼がやっていた。
休憩を挟んで、まず場内にモノクロームのサイレント映画が異化作用を持つBGMとともに流される。カラカラという音も聞こえ、もしやと思えば、ちゃんと映写機が持ち込まれていた。とっても古いフィルム(クレジットは英語だった)らしい。笹久保は毎度のレパートリーを演奏したようだが、この晩は映画音楽を演奏するという括りが一応設定されていたよう。
そして、ヴァイオリン奏者の喜多直毅とピアニストの黒田京子のデュオによるパフォーマンスが始まる。両者ともに名前はいろいろ見ていて、ざっくり書けば喜多はタンゴ・ビヨンド、黒田は自由ジャズ+の奏者というイメージを持っていたが、両者は何かとデュオのライヴをしたり、アルバム作りをしている間柄らしい。
ミシェル・ルグラン、ガトー・バルビエリ他の映画曲を演奏していくが、その重なりを聞いてすぐに思ったは、両者ともちゃんとクラシックの研鑽を積んだ末に、確かな私としてのクリエイティヴィティ〜はみ出しや余白を出しているなということ。ぼくはクラシックを取り巻く環境に偏見を持つ人間で(でも、それは歳を取るとともにだいぶ弱まっていると思う)、クラシックという言葉を負の意味合いで出す場合も少なくないと思うのだが、ここでは完全に肯定的に出している。もう音のあり方が確かで、奥行きあり。滅茶、雄弁。特に喜多はかなり濁った音やピチカートによるかっとんだ音など多彩な音を出していて、耳をひく。確かなテクニックは軽自動車ではなく排気量のデカい車を得ているのと同じアドヴァンテイジを持つよなあと、変な発想もぼくは持った。けっこう哀愁に満ちていたり分かりやすいメロディを持つ曲のもと、その絡みは通り一遍ではなく、ちゃんとしたストーリー〜起承転結を持っているのにも頷く。また、現代音楽っぽいことをやっても、この単位は映えそうだなとも感じる。ぼくは現代音楽(やフリー・ジャズ)を起承転結を換骨奪胎した表現と捉えているので。
途中で1曲、昨年久保田制作のアルバムを出した浜田真理子が出てきて日本語の曲を歌う。普段はピアノも弾く彼女だが、ここでは歌だけ。アンコールではまず喜多と笹久保が哀愁曲をデュオで演奏。完全な、ぶっつけ本番であったそう。そして、もう1曲は黒田と浜田、そして急遽歌うことになったというおおたか静流(2016年11月10日)が出てきて、重なる。日本語歌もので、おおたかが関与した映画「しこふんじゃった。」の曲だという。おおたかの癖のある歌唱に続き浜田が歌うと、そのニュートラルな円満さが導く包容力がその魅力であるのかとも思った。
▶過去の、笹久保伸
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▶過去の、鬼怒無月
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http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-6.htm
http://43142.diarynote.jp/200401160000000000/
http://43142.diarynote.jp/200504151004040000/
http://43142.diarynote.jp/?day=20060121
http://43142.diarynote.jp/200910140952248669/
http://43142.diarynote.jp/?day=20100320
http://43142.diarynote.jp/?day=20120210
http://43142.diarynote.jp/?day=20120613
http://43142.diarynote.jp/201207031352302181/
http://43142.diarynote.jp/?day=20121121
http://43142.diarynote.jp/?day=20130211
http://43142.diarynote.jp/201402111029354181/
http://43142.diarynote.jp/201402240940377749/
http://43142.diarynote.jp/201406180852131370/
http://43142.diarynote.jp/201509021103292742/
http://43142.diarynote.jp/201708141222445705/
▶︎過去の、おおたか静流
http://43142.diarynote.jp/201611111651363466/
▶過去の、久保田麻琴
http://43142.diarynote.jp/200405071410000000/
http://43142.diarynote.jp/200910141731349364/
http://43142.diarynote.jp/?day=20101204
http://43142.diarynote.jp/201302091324078636/
http://43142.diarynote.jp/?day=20130920
http://43142.diarynote.jp/201409171722239857/
http://43142.diarynote.jp/201510290731105395/
http://43142.diarynote.jp/201511120722274234/
<今日の、覚醒>
温かい日差しが差し込む昼下がり、唐突にアルバムをレコード棚から引っ張りだす。故ハース・マルティネス(1999年4月21日)の1975年デビュー作、『ハース・フロム・アース』(ワーナー・ブラザーズ)。なんか、そのロビー・ロバートソン制作の佳作の断片が突然に頭のなかに響きだし、レコードをターンテーブルに乗せていた。その音とともに当時の事象や心持ちがさあーっと浮かび上がる。これもまた、音楽の記憶がもたらす贅沢な時間だな。そこにはガース・ハドソン(2013年8月2日)がオルガンで入るととともに、マルコム・セシルとロバート・マーゴウレフというスティーヴィー・ワンダー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日)の『インナーヴィジョンズ』期のシンセサイザー音を担った面々によるシンセ音も入っているが、“水の音”とか言えそうなそれらは久しぶりに聞いて、とても新鮮であった。その後、歌声のつながりからドクター・ジョン(2000年5月24日、2002年3月23日、2005年9月20日、2012年2月15日、2013年10月1日)を聞こうかとも思ったが、セシルが関与したリトル・フィート(2000年12月8日、2012年5月22日)の『ディキシー・チキン』(1973年)、セシルとマーゴウレフが関与したランディ・ニューマンの『グッド・オールド・ボーイズ』(1974年)と続ける。ともに、やはりワーナー・ブラザーズ系作品ですね。お、前者にはマーク・ボランの嫁さんでもあったソウル・シンガーのグロリア・ジョーンズが入っていたのか。意識したことはなかったが、後者の管音や雰囲気とかが『ハース・フロム・アース』とつながるところがある。まあ、ライ・クーダー(2009年11月5日)などもそうだが、ともにレニー・ワロンカーとラス・タイトルマン絡みのアーティストですね。両盤にともに参加しているのはウェスト・コースト・ジャズ界流れのパーカッショニスト、ミルト・ホランドだ。この後も連鎖は2作つづいたが、以下省略。やはり、大切なアナログはずっと所有し続けたい。
▶︎過去の、ハース・マルティネス
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live1.htm
▶︎過去の、ライ・クーダー
http://43142.diarynote.jp/200911071134384805/
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