ソウル〜ソウル・ジャズ演奏のギター名手であるデイヴィッド・T・ウォーカー(2007年12月18日、2010年12月11日、2011年6月21日、2013年10月17日、2015年8月3日)の自己バンド公演を六本木・ビルボードライブ東京で見る。ファースト・ショウ。その老紳士の外見に触れると、これは新春に接するにふさわしいと思えるか。登場者は皆、ネクタイはしていないものの、スマートにスーツを着ていた。

 キーボードとピアノのジェフ・コレラ(彼のみ、白人。とても地味な演奏し具合)とエレクトリック・ベースのバイロン・ミラー(親指弾きを多用)とドラムのリオン・チャンスラー(レギュラーとマッチド・グリップを併用)というサポート陣は、ぼくが前回見たショウと同じ顔ぶれだ。3人ともそれぞれにリーダー作を持ち、特にリスム・セクションの2人はジョージ・デューク(2004年10月28日、2010年3月15日、2012年12月5日、2013年8月7日)やハービー・ハンコック(2000年3月14日、2001年12月27日、2003年8月23日、2005年8月21日、2012年3月3日、2014年9月7日、2015年9月6日、2016年9月3日)ら様々なレコーディングに参加しているヴェテラン。ご両人は旧流儀の演奏ながら、現役感あり。とくに多様な音をあっさり繰り出すミラーはいい奏者だな。

 いろんな曲を演奏。ソウル曲のほうだと、スティーヴィー(2005年11月3日、2010年8月8日、2012年3月5日の「迷信」やマーヴィンの「インナー・シティ・ブルース」、ミニー・リパートンの「ラヴィング・ユー」他。ザ・クルセイダース(2005年3月8日。80年代中期、チャンスラーはザ・クルセイダースのメンバーだった)の「ストリート・ライフ」など、フュージョン系列ある曲も何曲かやり、シャッフルのブルースも一つ。それらを素材に、ウォーカーはその妙味をあますことなく、聞き手に届ける。過去、ミストーンを出したり、フレイズのつながりの悪さをちょい出していたりもした彼だが、今回はそれが1、2度しかなく、そういう意味では調子が良かった。秀でたプロデューサーと組めば、まだ傑作を作れると見た。あ、でも彼の真価は歌もののバッキング、魔法のごときオブリガードのあて方にあるかな。

▶過去の、デイヴィッド・T・ウォーカー
http://43142.diarynote.jp/200712190953140000/
http://43142.diarynote.jp/201012131713443911/
http://43142.diarynote.jp/201106270438075311/
http://43142.diarynote.jp/201310181020496675/
http://43142.diarynote.jp/201508091203108498/
▶過去の、ジョージ・デューク
http://43142.diarynote.jp/200410310519500000/
http://43142.diarynote.jp/201003191716161050/
http://43142.diarynote.jp/201212131141531884/
http://43142.diarynote.jp/201308110827534904/ R.I.P.
▶過去の、ハービー・ハンコック
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2000-3.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-12.htm
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2003-8.htm
http://43142.diarynote.jp/200508230545510000/
http://43142.diarynote.jp/201203062005542291/
http://43142.diarynote.jp/201409100930206205/
http://43142.diarynote.jp/201509220833541918/
http://43142.diarynote.jp/?day=20160903
▶過去の、スティーヴィー・ワンダー
http://43142.diarynote.jp/200511130015240000/
http://43142.diarynote.jp/201008261618276388/
http://43142.diarynote.jp/201203062006429595/
▶過去の、ザ・クルセイダーズ
http://43142.diarynote.jp/200503120546520000/

<今日の、そうなんですかあ>
 一緒にショウを見た知人に、90年代に阿川泰子のサポートでT・ウォーカーが日本に来たことがあって、そのときたいそう良かったという話を聞く。あれ、そんなことあったっけ? 渋谷・クラブクアトロで、ニック・デ・カーロも同行していたと言う。あ、クアトロでデ・カーロを見た記憶はあって、彼はそんなに来日していないはずなので、そのライヴをぼくは見ているはず。記憶はじきに劣化する……。ま、しょーがねえ。流れた先で、テレビ東京は番組に使われる音楽選曲がイケている、ばんばんソウル曲がかかるという話になる。我が家は地上波が映らないので、なんともそれについては分からない。なにげにテレ東、評判いいみたいね。少し時間も深まり、カウンターの横のほうにいたカップルからシャンパンのお裾分けをいただき、別の集団の豪日ミックスの女の子には着ていた上着を褒められる。今年も、いい1年になりそうだ。

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