千駄木・Bar Isshee。根津から歩いて会場に行ったのだが、改めてメトロ千代田線千駄木駅のそばにあるハコだなと再認知。そのセカンド・セット〜と言っても、1曲だけだが〜を見る。

 エレクトリック・ベースの竹下勇馬とドラムの石原勇治のユニットであるTUMOはこのハコの常連出演者であるそうで、毎回ゲストをフィーチャーする設定で実演を行なっているそう。で、この晩はバンドネオン奏者の鈴木ちほを呼んでのもの。

 この3人の演奏には初めて触れるが、へえ〜こんなん。まず、TUMOの単位としての音が想像を超える。竹下のベース、ありゃなんじゃ〜? ときに弦を爪弾いていわゆるベース音を出す場合もあるが、多くの場合、彼のフレットレスのプレシジョンはノイズ/異音発生装置として機能する。うひゃ。ドラムの石原はアコースティックなセットでその音にパルスや芯を与えたり発展のドアを開けて行ったりするのだが、ともかくこれはぼくの頭の中に登録されているベースとドラム二人によるインプロ音と重ならない。そして、その単位に鈴木がバンドネオンという生理的に素朴な楽器で入る(一部、肉声と鳴り物音も入れた)わけだが、それもまたぼくの知っているバンドネオンの使い方とは違うよなあ。というか、この楽器でのフリー・インプロヴィゼーションをぼくは初めて聞くし、それに触れるだけで不思議な日常的風景を変質させる何かを持つ。そして、その総体は音楽に在する表現/行為の自由を伝えていた。

 鈴木は、それ以前は和太鼓をやっていたのだそう。一部、バンドネオンの音が笙の音に似ていると思ったら、笙と一緒にやるとどちらの音か区別がつかないときがあるとのこと。ギグ終了後、竹下のベースを間近で見たら、合体ロボのようでこれはすごい。一見の価値、あり。ネックとボディにいろいろな装置をたくさんつけていて(しまうときは、それらをするすると効率よく外す)、ベースがアンドロイド化したみたい? そのメカニックな付属物はすべて自作で、いろいろやっているうちに現在のような姿になったのだそう。ドラムの石原は一部お好み焼きのコテを使い、弦楽器用のボウを撫でる。すると、不思議な響き音が出て、これも発見であった。

<今日の、ライヴ前>
 根津駅に初めて、降りる。そして、3時間強かけて、髪の毛をいじってもらう。東大の弥生キャンパス内にある、個室ヘア・サロンにて。かつて、表参道でずっとぼくの髪の面倒を見てくれていた後藤くんの新しい拠点。サロン・アブルボアという。木々に囲まれた同じ建物にはレストランやバーもあって、終了後に疲れを癒すために(同じところにずっと座っていられないんっスよ)バーで一杯飲んでから、千駄木に向かった。この辺りは、野生の狸がいるそうだ。

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