昨日見てなるほどと頷くとともに、まだ見せてない部分もありそうとも感じ、予定を変更し、またこのシカゴ・ネイティヴ(2017 年5月7日)の実演を見る。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。そしたら、やっていることはそんなに違わなかった。初々しくはしゃいでいる様も同様。だが、弾き語りはせず、すべてバンドで今日は行った。演奏時間は、昨日より少し長かった。

 昨日は横後方から見ていて、ステージ端に立ちかなり横(中央)を向いて演奏していたライリーの手元は見えなかったのだが、この日はしっかり見る。なるほど、サム・ピックをはめて弾いているのね。そんなにエフェクター使っている感じはないのだが、アコースティック・ギターを使う際も音色もコントロールされていた。しゃがんだときがあったのは、フィードバック音を出していたのか。

 わりと正面で見て、このリズム・セクションはめっぽうすごいと再認識。きっちりジャズの魔法を知りつつ、音楽に乗って個をエモーショナルに解き放っているもの。そしたら、共にその道では有名人。ウッド・ベースをブンブン弾くインゲブリクト・ホーケル・フラーテンはノルウェーの現代ジャズの代表バンドであるアトミック(2005年4月12日、2008年12月7日)やザ・シングの辣腕メンバーだし(ジャガ・ジャジストの構成員としても来たことがあるかも。もちろん、リーダー作もいろいろ出している)、いろんな叩き方を基本レギュラー・グリップで繰り出すドラムのフランク・ロザリーもアリゾナ州生まれながらシガゴをベースに現代ジャズ表現に関わっている御仁で、彼も趣向を凝らしたリーダー作は多数。いやはや、二人の素性を再確認すると、コドモみたいに天真爛漫に振る舞うウォーカーのあまりにうれしい変テコさも認識できる。

 もう一人のギタリストであるブライアン・J・サルピジオはずっとウォーカー作品に参加し、自らもヘルス&ビューティという妙な聞きどころ満載の3人組ロック・バンドをやっていて、フランク・ロザリーはそのメンバーでもある。また、電気ピアノ中心に効果音的シンセサイザー音も出し、ソロは一切取らないクーパー・クレインは、やはりウォーカーの側近奏者でケイヴという音響ポスト・ロック・バンドをやっていた。

 とかなんとか、ロックやジャズが敷居を低く美味しく重なる場合もあるシカゴの妙を直裁に伝える出し物であったのは疑いがない。そういえば、ライリーの新作『Golden Sings That Have Beeen Sung』(Dead Oceans)ではシカゴ最大のロック・バンドであるウィルコ((2003年2月9日、2004年9月19日、2010年4月23日、2013年4月13日)にいたリロイ・バックをプロデューサーに据えていた。ウィルコが今の陣容にネルス・クライン(2010年1月9日、2010年4月23日、2013年4月13日、2014年8月14日、2015年6月2日)とかグレン・コッチェ(2010年4月15日、2010年4月23日2013年4月13日)といった即興畑の奏者を起用している事実も鑑みると、いろいろドキドキできますね。

 思慮深いシンガー・ソングライター表現という感じもあるアルバムと比べると、かなりインスト部重視のライヴ・パフォーマンスはウォーカーなりの”サイケ”の追及でもあるように思えた……。

▶︎過去の、ライリー・ウォーカー
http://43142.diarynote.jp/201705081232023349/
▶過去の、アトミック
http://43142.diarynote.jp/200504151005000000/
http://43142.diarynote.jp/200812150312308154/
▶過去の、ウィルコ
http://www.myagent.ne.jp/%7Enewswave/live-2003-2.htm
http://43142.diarynote.jp/200410121003440000/
http://43142.diarynote.jp/201004250658039897/
http://43142.diarynote.jp/201304150854159566/
▶過去の、ネルス・クライン
http://43142.diarynote.jp/?day=20100109
http://43142.diarynote.jp/201004250658039897/
http://43142.diarynote.jp/201304150854159566/
http://43142.diarynote.jp/201408161131356136/
http://43142.diarynote.jp/201506070750376864/
▶過去の、グレン・コッチェ
http://43142.diarynote.jp/201004180836405961/
http://43142.diarynote.jp/201004250658039897/
http://43142.diarynote.jp/201304150854159566/

<今日の、想像>
 昨日、めでたい理由で千葉に引っ越した知り合いから、千葉の土産をいただいちゃう。ありがとうございます。落花生型の箱にピーナッツ最中とピーナッツ饅頭というもの(はやり、落花生の形をしている)がいろいろ入っている。へえ。おぼろげに落花生は千葉県の特産品と聞いたことがあるような気もするが、なるほどピーナッツがあんのほうに入っている。南京豆とも日本で言うピーナッツという単語、ぼくはなぜかスイカと同様に、黒人ぽい単語という発想を得るかもしれぬ。それは、故ソニー・シャーロック(1940〜94年)の「ピーナッツ」という曲をすぐに思い出すからか。また、「ソルト・ピーナッツ」というおどけた名曲(ディジー・ガレスピー/ケニー・クラーク作曲。ぼくはザ・ポインター・シスターズのヴァージョンが一番好き)を思い出すからか。シャーロックの代表作の一つである『ブラック・ウーマン』(アトランティック、1969年)に入っていた同曲を聞きながら、彼だったら今日のウォーカーのライヴに無理なく加われ、曲をあっち側に持って行ったろうなと夢想した。

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