BIGYUKI

2016年11月20日 音楽
 おおー。BIGYUKI、ステージ上で踊りっぱなし。彼の前や横にはピアノと4台のキーボードが置かれていたが、主に弾いたのはピアノの上にちょこんと置いていた鍵数の少ないそれ。いや、プリセットの音も用いているとはいえ、それでグルーヴィに済んじゃう。なんか、いろんな部分で、あちらのアーバン表現の前線で活動している人物という感じはバリバリあったなー。バークリー音大卒業後NYで活動しているキーボード奏者を、南青山・ブルーノート東京で見る。セカンド・ショウ。

 両親の勧めもあり、クラシック・ピアノを弾いたテープを送ったら奨学金が出ることにもなり、高校を出てバークリー音楽大学に進学したのが、2000年のこと。プロフェッショナル・ミュージックという、広く浅くというものを専攻。その後、タリブ・クウェリやビラル(2001年8月18日)のサポートなどをし、2010年代に入るころからNYの現場で頭角を表している。

 白人ギタリストのランディ・ルニオンと黒人ドラマーのレニー・リースがサポート。結構、切れ目なく流れていく総体に二人も無理なく絡んでいて、ちゃんとリハも積んできたよう。特にリースのプリセットのビートに絡むドラムは秀逸。彼がやはりプリセット音を流すシャソル(2015年5月30日、2016年8月29日)のライヴに入ったならと、少し余計な夢想をしてしまった。

 イケてるビートに、BIGYUKIによるメロディや音色が変幻自在の感覚を孕みながら舞い、弾む。一発で、ダンス・ミュージックの前線にあると思わせる。代わりにジャズ的な部分はほとんどなし。総じては、ポスト・ソウル、プログ・ソウルと言いたくなる、キラキラした喧騒と高揚が満載。楽しみました!

▶過去の、ビラル
http://www.myagent.ne.jp/~newswave/live-2001-8.htm サマーソニック1日目
▶︎過去の、シャソル
http://43142.diarynote.jp/201505310957591440/
http://43142.diarynote.jp/201609200921301045/

<今日の、平野さん>
 本名は平野雅之。BIG YUKIというのはバークリー時代からの愛称で、やはりYukiと呼ばれていた金坂征広(現在、Monolog名でボストンで活動するサウンド・クリエイター)と差別化からそうなった。彼、今回なんと10年ぶりの帰国とか。そのファースト作『グリーク・ファイアー』が日本のユニバーサルから出るときに、ミュージック・マガジン誌の記事用に彼にメール・インタヴューをしたのだが、とても丁寧に答えを返してくる様とステージ上のハイパーな姿が最初は重ならず。ぼくは『グリーク・ファイアー』を聞いて、ジャズやヒップホップも知っているオルタナティヴなポップ・ミュージック、今様なプログ・ロックという所感も得たのだが、その感想に対する彼の答えは、「自分が曲を書くときに常に意識しているのが、曲の展開に意外性を持たせるということです。自分が音楽を聴いていて、展開が想像通りだとすぐに飽きちゃうので、そこは気をつけているところです。結果として曲が2段階、3段階構成になって、それがプログ・ロックっぽくもなってるのかなと思いました。オルタナティブなポップっていうのはおもしろいですね。メロディがわかりやすいと捉えてもいいんでしょうか」。彼はLAのフライング・ロータス(2014年12月5日)への親近感を持ち、一緒に音楽を作りたい人として、アンダーソン・パークの名を出していた。
▶︎過去の、フライング・ロータス
http://43142.diarynote.jp/201412151251045801/

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