ステージ半分には13人の管楽器奏者が、いかにもビッグ・バンド的風情を醸し出す譜面台(と、言っていいのかな)を前に正装で座る。もう、それだけで華やか、ハレの場というノリはばっちり出ますね。優美さと躍動を兼ね備えた米国黒人音楽史上もっとも豊穣な集団表現を提出したと言えるだろうエリントン(生まれは、19世紀)だが、その楽団は死後(1975年没)も存続していて、来日も度々(2009年11月18日、他)。丸の内・コットンクラブ、ファースト・ショウ。

 バンド・リーダー/コンダクターはピアノのやんちゃじじい、トミー・ジェイムズ。「ムード・インディゴ」をはじめ、おなじみの曲群が送り出されると、改めてエリントン関連者のメロディ作り/編曲(それは、ジェイムズらによって、少し紐解き直されている)の見事さに溜め息しちゃう。それらは半世紀以上も前な曲なワケで……。それと、トランペット奏者のソロのときのカップ使いが巧み。なるほど、な。

 今回も彼らを見たいと思ったのは、R&Bシンガーのブライアン・マックナイトがゲスト歌手としてついたから(28日まで。この19〜23日における同オーケストラ公演ではヒラリー・コール;2009年4月1日が歌ったはず)。テイク6(2005年11月10日)のクロード・マックナイトを兄に持つ彼、作曲や楽器演奏も得意など歌う以外の才にも恵まれていたのは知っていたが、ジャズの素養も持つのは知らなかった。

 中盤に出てきた彼は、4曲歌う。うち、3曲はビッグ・バンドを従えてのもの。そんなに声量がある&フィーリング豊かという感じではなかったが、鼻にかかった高め歌声(それが、切なさやジェントルさとつながるのだなと今回再認識)はビッグ・バンド音には合うし、妙味はやはりある。あと、マックナイトは身長があるので、そういうのもビッグ・バンドでは映える。そして、一曲はジャジーなピアノ弾き語り(それは、自作曲であったか)を披露。どうってことないが瑞々しくて、良い。多少低めの価格設定で、マックナイトのピアノ弾き語りショウが企画されてもいいと思った。

 そして、また演奏陣だけの演奏に戻り、アンコールの際にマックナイトはまた出てくる。で、ブルース・コードの「Cジャム・ブルース」をやったのだが、あれれ、これヴォーカルが入る曲ではないのではと思ったら、マックナイトはスキャットを少しやりはじめる。でもって、トミー・ジェイムズと代わり、ピアノを弾きだした。とっちらかったソロは褒めるべきものではなかったが、それもショウとしてはあり。

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