まず、渋谷・Oウェストで、セネガルのヒップホップ・チームのダーラJ
を見る。Oウェストは本当に久しぶりに来るが、ロビーがなかったりするも
のの、非常に天井が高い(フロア3階ぶんぶちぬきとなるのか)まっとうな
ヴェニューであると再認識。ショウはちょうど30分遅れでスタート。白人の
DJが回すなか、民族衣装ふうの服を来た3人のブラック・ガイが登場し、
肉声をかます。15年前のパブリック・エネミーを簡素にしたような曲をはじ
めDJ音はたいしたことないが、やはり3人の地声は強力。もっとアフリカ
要素をまぶした要素のトラックを使ってえというのはこっちの身勝手な感想
だが(だって、日本のラップ・チームに日本要素を入れて欲しいとは思わな
いもの)、強く弾む声が出てくるだけでこれはアフリカと繋がった表現なの
だと納得させるところがある。彼らはときにぽく吃音をラップの中に入れた
りもするし、レゲエ調曲(これは何曲かあった)では歌ったりもした。フラ
ンス語圏のはずだが、MCは英語にて。ラテン調というより、オゾマトリを
想起させる曲が終わると、グラシアスと彼らは言う(笑)。憎めない感じも
よろしげな人たち。

 最後まで見ることができずに移動し、丸の内・コントンクラブ(セカンド
)。ケニー・ラティモアとシャンテ・ムーア、ソロとして活動してきて、デ
ュオ・アルバムもリリースしている(次作もそうなる)夫妻による連名ステ
ージ。バックはキーボード、ギター、ベース、ドラムにコーラス3人(男1
、女2)。まず、ジーンズに趣味良く黒い上着を来た二人の、カジュアルで
清潔感のある格好がいいナと思う。二人によるデュエット曲を節目節目に置
き、各々が2、3曲ぐらいづつ交代で歌っていくといった構成。ムーアはと
っても綺麗な人、それだけでもフロントに立つべき人でしょう。歌の能力だ
けを見れば、年下の旦那のほうが少し上。それは、夫婦間にいいバランスを
与えるだろうなあと感じた。ラティモアは、リーダー作でも取り上げて
いたサザン・ソウル調の「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ユール・ネヴァ
ー・ノウ」(アル・クーパー作曲のブラッド・スウェット・ティアーズの曲
で、ダニー・ハサウェイもカヴァー)やザ・ビートルズの「ホワイル・マイ
・ギター・ジェントリー・ウィープス」も歌う。とくに、原曲のノリ(ゲス
トのエリック・クラプトンがソロを取っている)をひきづりギター・ソロを
フィーチャーしがちな後者をそれに陥ることのないアレンジでやっていたの
には少し感心した。デュエットでやる場合はベタベタ愛撫しあうかの如く歌
いあうというのはなしに(セックスを想起させる、なんてことはこれっぽち
もない)、実にジェントル&テンダーに事を運ぶ。でも、それが二人の風情
や格好にもあっていて、こういう円満かつ洒脱なソウル・デュエットがあっ
てもいいのだとぼくは大きく頷いた。いいショウだったな。二人はステージ
ですれ違うときに、お互いの手や顔にほんのちょっと触れたりして、それも
いい感じだ。

  

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